今回は、情緒学級で子どもを叱りすぎないために、担任ができる環境づくりや関わり方についてまとめます。
最初に確認しておきたいのは、ここで言う「叱らない」は、何でも許すという意味ではないということです。
他害、自傷行為、自傷につながる行為、物を壊す行為、危険行為、相手を傷つける言動などは、必要に応じて止める必要があります。
ダメなことを曖昧にするわけではありません。
ただ、子どもを叱る場面は、少ないに越したことはありません。
叱る場面が多くなると、子どもも担任も疲れます。
担任との関係も、「注意する人」「叱る人」という印象に寄りやすくなります。
反対に、叱らずに済む場面が増えると、相対的に良い関わりが増えます。
できたことを認める。
一緒に確認する。
次の行動を選ぶ。
困ったときに相談する。
安心して気持ちを出す。
そういう関わりの時間を増やしやすくなります。
そのために大切なのは、問題が起きてから叱ることではなく、問題が起きにくい状態を先に作っておくことです。
この記事では、未然防止・予防の観点から、主に次の2つについて整理します。
1つ目は、子どもが迷いにくい環境づくり。
2つ目は、子どもが見通しを持ちやすくなる教師の関わり方です。
叱らずに済むためには、まず子どもが迷わない環境を作る
情緒学級では、子どもが迷う場面をできるだけ減らすことが大切です。
次に何をすればよいのか分からない。
自分の物をどこに置けばよいのか分からない。
空いた時間に何をしてよいのか分からない。
やってよいことと、やってはいけないことの境目が分からない。
どこにいれば安心できるのか分からない。
こういう状態が多いと、子どもは不安定になりやすくなります。
もちろん、すべての子どもが同じように困るわけではありません。
ただ、見通しが持てないことは、子どもの不安を高める大きな要因の一つです。
だからこそ、教室環境の中に「見れば分かる」「戻れば分かる」手がかりを用意しておくことが大切です。
たとえば、1日の予定表を見える場所に置く。
活動の順序を示す。
提出物の場所を決める。
使う物の置き場所を固定する。
空いた時間にやってよいことを示しておく。
個人スペースを確保する。
座席の距離を近づけすぎない。
刺激が多すぎる物は見えにくい場所に移す。
こうした環境づくりによって、教師が毎回細かく指示しなくても、子どもが自分で判断しやすくなります。
大切なのは、教師がいなくても少しずつ動ける状態を作ることです。
「先生に聞かないと分からない」状態が続くと、子どもはいつまでも教師の指示待ちになりやすくなります。
一方で、「ここを見れば分かる」「この手順で確認すればよい」と分かっていると、子どもは少しずつ自分で動けるようになります。
情緒学級の教室環境づくりでは、次のような観点を意識するとよいです。
予定が分かる。
物の場所が分かる。
自分の居場所がある。
余白がある。
教師がいなくても少しずつ動ける。
環境づくりについては、別記事でさらに詳しくまとめています。
ここでは、叱らずに済む関わりの土台として、子どもが迷いにくい環境を整えることが大切だと押さえておけばよいと思います。
【関連記事】情緒学級の教室環境づくり|子どもが迷わず動ける教室を作るポイント
見通しは、教師が一緒に確認する
子どもが不安定になる背景には、見通しの持ちにくさが関係していることがあります。
次に何をするのか分からない。
いつ終わるのか分からない。
あとどれくらい頑張ればよいのか分からない。
今の活動がどこまで進んでいるのか分からない。
こうした状態では、子どもは安心して活動に取り組みにくくなります。
このとき、大人が毎回「次はこれをしなさい」と指示するだけではなく、一緒に見通しを確認することが大切です。
たとえば、
「次の予定を一緒に確認してみようか」
「今はどこまで終わったかな」
「ここまで終わったから、次はこれだね」
「予定表を見ると、この後は何になっているかな」
このように、予定表や活動の流れを一緒に確認します。
ポイントは、大人がすぐに答えを渡しすぎないことです。
もちろん、子どもが大きく混乱しているときや、確認する余裕がないときは、大人が短く伝えた方がよい場合もあります。
ただ、落ち着いて確認できる場面では、予定表やスケジュールを一緒に見ながら、子どもが自分で見通しを持てるように関わります。
これは、単に次の予定を知らせるためだけではありません。
子どもが「分からなくなったら予定表を見ればよい」「困ったら流れを確認すればよい」と分かるようになることが大切です。
教師の指示だけで動くのではなく、環境にある手がかりを使って自分で確認する。
この経験を積み重ねることで、少しずつ自分で動きやすくなります。
【関連記事】情緒学級で子どもに見通しを持たせる支援|予定・ゴール・困った時の動き方を示す
遊びや切り替えにも、見通しを入れる
見通しを持たせる関わりは、授業だけでなく、遊びや休み時間、切り替え場面でも使えます。
たとえば、遊びを始める前に、
「10分になったら片付けようね」
「このタイマーが鳴ったら終わりにしよう」
「あと1回やったら片付けよう」
と伝えておきます。
このとき、本人に復唱してもらうのも一つの方法です。
「何分になったら片付けるんだった?」
「タイマーが鳴ったらどうするんだったかな?」
このように確認しておくと、少なくとも子どもが意識するきっかけになります。
もちろん、最初から必ず守れるとは限りません。
分かっていても、切り替えが難しいことはあります。
それでも、何も伝えずに突然終わらせるより、事前に見通しを共有しておく方が、切り替えやすくなることがあります。
時間の見通しを持てる子には、少し考えさせる関わりも有効です。
「次の授業は10時30分から始まるね。何分ごろから準備を始めるとよさそう?」
「あと5分でチャイムが鳴るけど、先に片付ける? それともあと1回やってから片付ける?」
「準備に何分くらいかかりそう?」
このように、子ども本人が時間や行動の見通しに意識を向ける機会を作ります。
一方で、時間の見積もりが難しい子に対して、いきなり自由に考えさせるのは難しい場合もあります。
その場合は、選択肢を示します。
「3分前から準備する? 5分前から準備する?」
「時計の針がここに来たら片付ける? タイマーが鳴ったら片付ける?」
「あと1回で終わる? あと2分で終わる?」
このように、選択肢を絞ることで、子どもが決めやすくなります。
選択肢を示して、自己決定の経験を積ませる
情緒学級では、子どもに自己決定の経験を積ませることも大切です。
ただし、何でも自由に選ばせればよいということではありません。
選択肢が多すぎると、かえって迷ってしまう子もいます。
何を選べばよいか分からず、不安になる子もいます。
その場の気持ちで選んでしまい、後から困る子もいます。
だからこそ、大人が選択肢を整えることが大切です。
たとえば、
「先に国語をやる? 算数をやる?」
「机でやる? こっちのスペースでやる?」
「一人で始める? 最初だけ先生と一緒にやる?」
「休憩してから始める? 1問だけやってから休憩する?」
このように、AかBの形で選択肢を示します。
どちらを選んでも大きく崩れない選択肢にしておくことがポイントです。
子どもが自分で選び、その結果として行動がうまくいく。
この経験を積み重ねることで、「自分で選んで動けた」という感覚が育ちます。
子どもがすでに適切な選択肢を持っている場合は、大人が細かく指示しすぎないことも大切です。
反対に、子どもが選択肢を持てていない場合は、大人が選択肢を示して、決める経験を支えます。
つまり、放任ではなく、支援つきの自己決定です。
これは、さまざまな場面に応用できます。
学習に取り組む順番。
休憩の取り方。
片付けのタイミング。
友達との距離の取り方。
気持ちを落ち着ける方法。
こうした場面で、子どもが少しずつ自分で選び、自分で動ける経験を積めるようにします。
【関連記事】スモールステップとは何か|できないことを少しずつできる形にする
うまくいかなかったときは、子どもだけの責任にしない
事前に約束したり、選択肢を示したりしても、うまくいかないことはあります。
時間になっても片付けられない。
選んだはずなのに動けない。
約束したことを守れない。
声をかけても切り替えられない。
こういう場面で、すぐに子どもを責めすぎないことが大切です。
もちろん、約束を守ることは大事です。
ただ、最初から完璧に守れるとは限りません。
うまくいかなかったときは、子どもだけの問題にせず、大人側の提示の仕方やタイミングも見直してみます。
約束は具体的だったか。
子どもに伝わっていたか。
難しすぎる約束ではなかったか。
選択肢は多すぎなかったか。
声をかけるタイミングは合っていたか。
その日の子どもの状態はどうだったか。
周りの刺激が多すぎなかったか。
このように考えます。
もちろん、大人の関わりに大きな問題がなかったとしても、その日の子どもの状態によってうまくいかないこともあります。
眠い、疲れている、不安なことがある、交流学級で頑張った後だった、体調が悪い。
そうした要因も関係します。
一度うまくいかなかったからといって、すぐに手立てを変えればよいわけではありません。
働きかけが毎回変わると、子どもがかえって混乱することもあります。
安全面に問題がない場合や、子どもの負担が明らかに大きすぎるわけではない場合は、数日から1週間ほど同じ方針で様子を見ることも大切です。
ただし、他害、自傷行為、自傷につながる行為、危険行為などが見られる場合や、子どもに明らかに強い負担が出ている場合は、すぐに見直します。
大切なのは、子どもを責めるためではなく、次にうまくいきやすい形を探すために振り返ることです。
【関連記事】情緒学級で個別の約束事を作るときの考え方|ルールを増やす前に確認したいこと
ダメなことは、明確にダメと伝える
叱らずに済む関わりを目指すとしても、ダメなことを曖昧にしてよいわけではありません。
特に、他害、自傷行為、自傷につながる行為、危険行為、物を壊す行為、相手を傷つける言動などは、必要に応じて明確に止める必要があります。
このとき、まず優先するのは安全確保です。
誰かを叩こうとしている。
自分の体を傷つけようとしている。
頭を強く打ちつけようとしている。
物を投げようとしている。
危険な場所に行こうとしている。
周りの子どもが怖がっている。
こうした場面では、理由を説明する前に、まず止めることが必要です。
その上で、落ち着いてから短く確認します。
「叩くことはよくない」
「自分の体を傷つけることは止める」
「物を投げると危ない」
「相手が痛い思いをする」
「次は、言葉で伝える」
「困ったときは先生に言う」
このように、行為に対して指導します。
ここで大切なのは、人格ではなく行為を指導することです。
「あなたは悪い子だ」
「いつもそうだよね」
「だからダメなんだよ」
このように人格面まで踏み込むと、子どもとの関係がこじれやすくなります。
指導するのは、子どもそのものではなく、その場で起きた行為です。
「叩くことはよくない」
「自分を傷つけることは止める」
「物を壊すと困る」
「相手を傷つける言い方はしない」
このように、何がよくなかったのかを具体的に伝えます。
子どもによっては、理由を丁寧に説明した方が入りやすい場合もあります。
一方で、「これは学校のルールです」「人を叩くのはダメです」「自分や相手を傷つけることは止めます」と短く明確に伝えた方が入りやすい子もいます。
どちらがよいかは、子どもの実態によって変わります。
いずれにしても、感情でぶつかるのではなく、行為を止め、落ち着いた後で次の行動につなげることが大切です。
また、自傷行為や自傷につながる行為が繰り返し見られる場合は、担任だけで抱え込まないことも重要です。
特別支援教育コーディネーター、養護教諭、管理職、保護者などと情報を共有し、校内で対応方針を確認します。
必要に応じて、関係機関との連携を検討することもあります。
担任一人の判断で何とかしようとせず、安全確保とチームでの対応を優先することが大切です。
【関連記事1】情緒学級で問題行動をどう見るか|前後関係から見立てを作るポイント
【関連記事2】情緒学級担任が同僚と関係を作るには?相談しやすいチームを作る考え方
「分かっているけど止められない」場面では、刺激を減らす
子どもの中には、「分かっているけど止められない」という状態になる子がいます。
触ってはいけないと分かっている。
見てはいけないと分かっている。
今は授業だと分かっている。
片付けなければいけないと分かっている。
それでも、気になるものに意識が強く引っ張られてしまうことがあります。
大人から見ると、「わざと見ている」「我慢していない」「注意しているのに聞いていない」と見えるかもしれません。
しかし、本人にとっては、努力だけで抑えるのが難しい場合があります。
このような場面では、本人の努力や我慢だけに任せるのではなく、まず刺激を減らすことを考えます。
気になる物を視界から外す。
手に取りやすい物をしまう。
座席を変える。
友達との距離を調整する。
掲示物や教材を減らす。
音や人の動きが少ない場所に移る。
今使わない物は机上に置かない。
こうした環境調整によって、子どもが落ち着きやすくなることがあります。
もちろん、気になるものに手を出した結果、物を壊したり、人を傷つけたり、自分を傷つけたりする行為につながった場合は、その行為については指導や対応が必要です。
ただし、その場合も、
「なぜ我慢できないの」
「何回言えば分かるの」
「分かっているならやらないはずでしょ」
と責めるだけでは、改善につながりにくいことがあります。
本人の努力でどうにかする部分と、環境調整で支える部分を分けて考えることが大切です。
叱る前に、まず刺激を減らせないか。
座席や物の配置を変えられないか。
活動の流れを分かりやすくできないか。
支援の手がかりを増やせないか。
このように考えることで、叱らずに済む場面を増やしやすくなります。
【関連記事】情緒学級の実態把握|子どもの姿を記録して見立てを作る方法
大人側が感情的にならないためにも、記録は役に立つ
情緒学級で子どもと関わっていると、大人側も感情が揺さぶられることがあります。
急に大きな声を出される。
物を投げられる。
予定通りに進まない。
何度伝えても同じことが起きる。
自分や相手を傷つける行為が出る。
周りの子どもへの対応も必要になる。
慣れないうちは、驚きます。
腹が立つこともあります。
感情的に言葉を向けたくなることもあります。
これは、教師として失格という話ではありません。
大人も人間なので、想定外の出来事が起きれば感情は動きます。
ただ、その感情のまま子どもにぶつけてしまうと、関係が崩れやすくなります。
だからこそ、日々のメモや記録が大切です。
記録は、通知表や懇談会のためだけに取るものではありません。
子どもの姿を、印象だけで判断しすぎないためにも役立ちます。
人間は、事実よりも印象で記憶しがちです。
たとえば、Aさんが算数の授業で大きく荒れた日があったとします。
その日の他の時間は落ち着いて過ごしていたとしても、教師の印象には「算数で荒れた日」として強く残るかもしれません。
しかし、記録を見てみると、違った見え方になることがあります。
朝の準備は自分でできていた。
交流学級では友達と協力して活動していた。
休み時間は落ち着いて過ごしていた。
給食準備も大きなトラブルなく参加していた。
算数の時間にだけ、大きく不安定になった。
こうして見ると、その日は「ずっと荒れていた日」ではありません。
むしろ、ほとんどの時間はよく頑張っていた。
交流学級で頑張った後に、疲れや緊張が出た可能性もある。
算数の内容や活動の流れに、つまずきがあったのかもしれない。
教室が安心できる場所だからこそ、そこで疲れが出たのかもしれない。
このように、見立てが変わることがあります。
もちろん、これは一つの可能性です。
記録があるからといって、すぐに正解が分かるわけではありません。
それでも、記録があると、子どもの姿を一つの強い印象だけで決めつけにくくなります。
そして、大人側も落ち着いて考えやすくなります。
「また荒れた」ではなく、
「どの場面で不安定になったのか」
「その前に何があったのか」
「落ち着いていた場面はどこか」
「うまくいった支援は何か」
「安全面で共有すべきことは何か」
と考えられるようになります。
これは、子どものためだけでなく、大人側が感情的になりすぎないためにも重要です。
できた場面も記録する
記録を取るときは、困った場面だけでなく、できた場面も残しておくことが大切です。
情緒学級では、どうしても不安定になった場面やトラブルが記憶に残りやすいです。
しかし、子どもは一日の中で、たくさんの場面を乗り越えています。
朝の準備ができた。
自分から予定表を見た。
苦手な活動に少し参加した。
友達の近くで落ち着いて過ごした。
気持ちが崩れた後に教室へ戻ってこられた。
支援があれば課題に取り組めた。
やりたくない気持ちを言葉で伝えられた。
こうした姿も、きちんと記録しておきます。
特に大切なのは、「支援があればできた姿」です。
何も支援なしでできたことだけが成長ではありません。
予定表を見れば動けた。
声かけがあれば切り替えられた。
選択肢を示すと自分で選べた。
少し休憩すると戻ってこられた。
場所を変えると落ち着いて取り組めた。
こうした姿は、今後の支援を考える上でとても大切です。
また、通知表所見や保護者懇談会でも、具体的な成長として伝えやすくなります。
「できていないこと」だけでなく、
「どのような支援があればできるのか」
「どの場面では力を発揮できるのか」
を見ていくことが大切です。
子どもが自分を出せるかどうかも見る
教師としては、子どもがいつも落ち着いて、指示通りに、やるべきことをきちんとやっていると安心します。
しかし、それだけで子どもが安心しているとは限りません。
子どもは、場面によって自分の出し方を変えています。
交流学級では頑張っている。
先生の前ではきちんとしている。
友達の前では無理をしている。
でも、安心できる場所では少し力が抜ける。
やりたくないと言える。
疲れたと言える。
少しラフな言葉で関わってくる。
こうした姿は、必ずしも悪いこととは限りません。
もちろん、相手を傷つける言い方や、自分や相手を傷つける行動、危険な行動は指導や対応が必要です。
何でも受け入れればよいわけではありません。
ただ、子どもの言動をすぐに「わがまま」「反抗」「問題行動」と決めつけるのではなく、一度背景を考えてみることも大切です。
この子は、何を伝えようとしているのか。
なぜこの場面で、この言い方になったのか。
どの活動の後に崩れやすいのか。
誰との関わりで不安が高まりやすいのか。
どの場所では安心して気持ちを出せるのか。
一見すると不適応に見える行動にも、子どもなりの理由があることがあります。
本人が自覚していない場合もあります。
言葉でうまく説明できない場合もあります。
大人から見ると分かりにくい場合もあります。
それでも、「この状況でこういうことをするのはなぜだろう」と考えてくれる大人がいることは、子どもにとって大きな安心につながります。
保護者との情報共有にもつながります。
今後の支援を考える材料にもなります。
関係づくりにもつながります。
いわゆる「お試し行動」のように見えることもありますが、それもすぐに決めつけない方がよいです。
安心できるか確認しているのかもしれない。
どこまで許されるか探っているのかもしれない。
関わり方が分からないのかもしれない。
注目してほしいのかもしれない。
うまく言葉にできない気持ちがあるのかもしれない。
複数の可能性を考えながら、必要な指導と、背景への理解を分けて考えることが大切です。
【関連記事1】情緒学級の関係性づくり|できたことを一緒に喜ぶことから始める
【関連記事2】情緒学級の保護者対応で大切なこと|子どもの頑張りを共有する関係づくり
環境づくりは、子どもを管理するためだけではない
見通しを持てる環境を作ることは大切です。
ただし、それは子どもを細かく管理するためだけではありません。
予定を示す。
物の場所を決める。
活動の流れを分かりやすくする。
安心できる場所を用意する。
選択肢を示す。
刺激を減らす。
こうした環境づくりは、子どもを縛るためのものではありません。
子どもが安心して動けるようにするためのものです。
そして、安心できる環境は、子どもが自分の思いや困り感を出しやすくする土台にもなります。
「分からない」と言える。
「手伝ってほしい」と言える。
「休みたい」と言える。
「これは苦手」と伝えられる。
「こっちならできそう」と選べる。
こういう姿が出てくると、支援もしやすくなります。
反対に、環境が分かりにくく、見通しも持てず、大人の指示もその場その場で変わる状態では、子どもは自分の困り感を出す前に不安定になってしまうことがあります。
だからこそ、環境づくりは関わり形成の土台になります。
叱らずに済む関わりは、教師の我慢ではなく設計である
情緒学級で叱らずに済む関わりを増やすためには、教師がただ我慢すればよいわけではありません。
大切なのは、叱らなくて済む状態を先に作ることです。
子どもが迷わない環境を作る。
予定や活動の流れを見えるようにする。
次の行動を一緒に確認する。
時間や切り替えの見通しを持たせる。
選択肢を示して、自己決定の経験を作る。
危険な行為は明確に止める。
自傷や他害につながる行為は安全確保を優先する。
人格ではなく行為を指導する。
分かっているけど止められない場面では、刺激を減らす。
困った場面だけでなく、できた場面も記録する。
子どもが自分を出せる背景を考える。
担任一人で抱えず、必要に応じてチームで共有する。
こうした積み重ねが、叱る場面を減らしていきます。
もちろん、すべてがうまくいくわけではありません。
どれだけ準備しても、子どもが不安定になる日はあります。
約束が守れない日もあります。
大人側が感情的になりそうな日もあります。
それでも、環境と関わり方を整えておくことで、担任は子どもの姿を少し落ち着いて見られるようになります。
「またできなかった」ではなく、
「どこでつまずいたのか」
「どの支援なら入りやすいのか」
「どの場面ではできていたのか」
「安全面で共有すべきことは何か」
「次はどう提示するとよさそうか」
と考えやすくなります。
叱らないことを目的にするのではなく、叱らずに済む状態を増やす。
そのために、環境、見通し、選択肢、記録、情報共有を整える。
この意識を持っておくだけでも、情緒学級での関わりはかなり安定しやすくなると思います。
今回の記事では全体の考え方を中心にまとめました。
教室環境づくり、予定表の使い方、選択肢の示し方、観察メモの取り方などは、それぞれ別の記事でさらに詳しく整理していきます。
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