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特別支援学級の授業はどうする?個別・小集団・複数学年の授業づくり

特別支援学級を初めて担任すると、

「複数の学年を同時にどう教えればいいの?」
「一人ずつ見ていたら45分では足りない」
「全員に違う課題を用意するの?」
「通常学級の授業と、どこを変えればいいの?」

と迷うことがあります。

特別支援学級の授業では、少人数である一方、異なる学年や学習進度、個別の目標を持つ子どもが同じ時間に学ぶことがあります。

そのため、

全員に同じ内容を、同じ方法で、同時に教える

という授業だけでは回しにくい場面があります。

だからといって、一人ずつ完全な個別指導を45分間続けることも現実的ではありません。

私自身は、特別支援学級の授業を考えるとき、

授業の「型」をある程度固定し、その中で教師が直接関わる時間と、子どもが自分で進める時間を組み合わせる

ことを大切にしていました。

そして、その型の中身を子どもの実態や目標に合わせて調整していきます。

この記事では、特別支援学級の授業をどう考え、どのように組み立てればよいのか、その全体像を整理します。


特別支援学級の授業は通常学級と何が違う?

特別支援学級の授業には、通常学級とは少し違う条件があります。

代表的なのは、

  • 少人数である
  • 異なる学年の子どもが同じ学級にいることがある
  • 学習進度や目標が同じとは限らない
  • 個別の指導目標がある
  • 交流学級で学ぶ時間がある子どももいる

といった点です。

少人数だからといって、授業が必ず簡単になるわけではありません。

例えば、同じ時間に、

3年生は算数のわり算、
4年生は小数、
5年生は割合、

というように、まったく違う内容を学んでいることもあります。

また、同じ学年であっても、

一人で進められる子。
途中で教師の確認が必要な子。
最初に一緒に確認すると、その後は自分で進められる子。

といった違いがあります。

そのため、特別支援学級の授業では、

「何を教えるか」だけではなく、「誰に、いつ教師がつくのか」まで含めて授業を設計する

必要があります。


授業は「全員同じ」か「完全個別」の二択ではない

特別支援学級の授業というと、

「一人ひとりに違う授業をしなければならない」

と考えてしまうことがあります。

しかし、実際にはそこまで極端に考える必要はありません。

授業の中には、

教師が直接教える時間
子どもが自分で進める時間
小集団で一緒に学ぶ時間
教師が確認する時間

を作ることができます。

例えば算数なら、

最初の5分だけ教師と新しい内容を確認する。

その後は練習問題を自分で進める。

別の学年を教師が見ている間は、自力で解ける問題に取り組む。

最後に教師が丸付けや理解の確認をする。

といった形です。

こうすると、教師が一人の子どもについている間も、他の子どもの学習が完全に止まることを減らせます。

ポイントは、

教師がいない時間も授業の一部として設計すること

です。

教師が離れた瞬間に、

「先生、次は何をするの?」
「終わりました」
「分かりません」

が一斉に始まると、授業はすぐに止まります。

反対に、

何をするか。
どこまでやるか。
分からないときにどうするか。
終わったら何をするか。

が分かっていれば、子どもは自分で動きやすくなります。

45分授業の具体的な流れについては、別の記事でテンプレートとして詳しくまとめています。

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授業を組むときは「教師の時間をどこに使うか」を考える

授業づくりで重要なのは、全員へ同じ時間を使うことではありません。

むしろ、

今日は、どこに教師の時間を使う必要があるのか

を考えます。

例えば、

新しい考え方を初めて学ぶ。
文章問題の意味を一緒に整理する。
具体物を操作しながら理解する。
つまずいている原因を確認する。

こうした場面では、教師が直接つく意味が大きくなります。

一方、

すでに理解している計算練習。
漢字練習。
前時までの復習。
一人で進められるプリント。

などは、教師が他の子どもを見ている間に進めることもできます。

つまり、

教師でなければできない部分に、教師の時間を使う

ということです。

そのためには、

  • 今日の学習内容
  • 子どもの現在の理解
  • 一人でできる範囲
  • 教師が必要な場面
  • 必要な支援

を事前に考えておきます。

これは授業テクニックというより、実態把握と授業設計の問題です。

子どもの実態をどう見るかについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

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複数学年では「全員を同時に教えない」

複数学年の授業では、

「3年生を教えながら4年生も教えて、さらに5年生も見る」

という状態になります。

これをすべて同時に処理しようとすると、かなり難しくなります。

そのため私は、

全員を同時に教えようとしない

ことを前提にしていました。

例えば、3学年を同時に見るのであれば、

まず3年生と新しい内容を確認する。

その間、4年生と5年生は自分で進められる課題を行う。

3年生が自力課題へ入ったら4年生を見る。

次に5年生を見る。

というように、教師の時間を順番に移していきます。

大切なのは、時間を完全に均等に配ることではありません。

その時間に教師が必要な子どもや内容へ、必要なだけ時間を使います。

逆に、

「この子は今日はほとんど一人で進められる」

のであれば、教師が長時間つく必要はありません。

複数学年の授業では、

誰を何分見るか

だけではなく、

教師が離れている間に何をしてもらうか

までセットで考えることが重要です。

この具体的な時間配分や、自力課題の作り方については、実践編の記事で詳しく紹介しています。

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「自力で進める課題」も授業設計の一部

教師が別の子どもを見ている間に行う課題は、

「余ったプリントをやっておいて」

では回りにくいです。

自力課題は、

  • 一人で進められる
  • やる量が分かる
  • 終わりが分かる
  • 分からない問題を飛ばせる
  • 後から教師が確認できる

といった条件があると使いやすくなります。

特に重要なのは、

途中で分からない問題が出たときに、そこで完全に止まらないこと

です。

例えば、

「分からない問題には印をつけて次へ進む」

というルールを決めておくだけでも違います。

また、

課題が終わったら読書。
漢字練習。
タブレット教材。
決めてある次の課題。

など、

終わった後の動き

も決めておくと授業が安定します。

ここまでを授業の一部として考えると、

「教師がついていない=何も学んでいない」

という状態を減らすことができます。


授業の型を作り、子どもからも見えるようにする

授業の流れは、毎時間まったく違う形にする必要はありません。

むしろ、

ある程度同じ型を繰り返した方が、教師も子どもも動きやすくなります。

例えば、

  1. 今日やることを確認する
  2. 教師と学ぶ
  3. 自分で進める
  4. 教師に確認してもらう
  5. 終わった後の活動へ進む

といった流れです。

この型は、教師の頭の中だけに置かない方がよいです。

黒板やホワイトボードに、

  • 今やること
  • 次にすること
  • 終わったらすること

を簡単に示しておくと、子どもから見ても分かりやすくなります。

私は、授業で何度も使う表示はラミネートして裏にマグネットを貼り、繰り返し使っていました。

毎回きれいな掲示物を作る必要はありません。

一目で分かることの方が重要です。

教室環境や予定の見える化については、別記事で詳しく紹介しています。

誰が何をするのかが見える状態になると、支援員や別の教師が入ったときにも動きやすくなります。

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型は固定しても、中身は子どもに合わせて変える

「授業の型を固定する」と書くと、

毎日同じことをするように感じるかもしれません。

そうではありません。

固定するのは、

授業を進めるための枠組み

です。

その中で扱う内容や支援は、子どもの実態に応じて変えます。

例えば、

同じプリントを使っていても、

一人は教師と最初の2問を確認する。

一人はすべて自力で進める。

一人は問題数を減らす。

一人は具体物を使う。

という違いがあっても構いません。

型があるからこそ、

「この手立てはうまくいったか」
「この子にはどこまで支援が必要か」
「一人でできる範囲が増えたか」

を比較しやすくなります。

授業の進め方を毎回大きく変えてしまうと、

何が効いたのか。
何が難しかったのか。

が分かりにくくなります。

安定した型の中で、

実態把握 → 手立て → 実践 → 記録 → 見直し

を小さく回していく方が、支援を改善しやすくなります。


交流学級で学ぶ時間もある

特別支援学級に在籍している子どもが、すべての教科を特別支援学級で学ぶとは限りません。

子どもの実態に応じて、

体育は交流学級。
音楽は交流学級。
算数は特別支援学級。

といった組み方をすることがあります。

そのため、特別支援学級の授業を考えるときには、

誰が、どの時間に、どこで学ぶのか

も確認しておく必要があります。

交流学級は「できるだけたくさん行けばよい」というものではありません。

その子にとって学びや経験につながるか、負担が大きすぎないかなどを見ながら参加方法を考えます。

交流学級そのものの考え方については、別の記事で詳しく整理しています。

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自立活動は教科の授業とは少し違う

特別支援学級では、自立活動を行うこともあります。

自立活動は、国語や算数のように教科書の内容を学ぶことそのものが目的ではありません。

子どもが学校生活や学習の中で抱えている困難を見ながら、

  • 気持ちを整える
  • 人との関わり方を学ぶ
  • 見通しを持つ
  • 自分の状態に気づく
  • 必要な方法で助けを求める

など、その子に必要な力を考えていきます。

ただし、授業づくりの考え方には共通する部分があります。

例えば、

授業の流れそのものは分かりやすく固定する。

共通して取り組める活動は一緒に行う。

必要な部分だけ個別の内容を入れる。

といった方法です。

自立活動については、別の記事で考え方から具体的な実践までまとめています。

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授業がうまくいかなかったら「子ども」だけでなく「授業設計」を見る

授業がうまく回らなかったとき、

「集中できなかった」
「やる気がなかった」
「一人ではできなかった」

と、子どもの側だけに原因を置いてしまうことがあります。

しかし、見直せるのは子どもだけではありません。

例えば、

  • 教師がつく時間が長すぎなかったか
  • 自力課題が難しすぎなかったか
  • 課題量が多すぎなかったか
  • 次に何をするか分かっていたか
  • 分からないときのルールがあったか
  • 終わった後の活動が決まっていたか
  • 教師が確認する時間を取れていたか

など、授業側にも確認できることがあります。

つまり、

「この子はできなかった」で終わらず、「この授業のどこを変えれば、次は進みやすくなるか」を考える

ということです。

一度で完璧な授業を作る必要はありません。

ある程度の型を作り、実際に回してみて、少しずつ改善していけばよいと思います。

授業の時間配分、自力課題、教師がつく順番などを実際に整理したい場合は、授業設計用のワークブックも用意しています。

情緒学級の複数学年・個別進度 授業設計ワークブック|45分の「誰を・いつ・何分見るか」を整理する

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まとめ|授業は「型を作り、中身を子どもに合わせる」

特別支援学級の授業は、

全員に同じ授業をすることでも、
一人ひとりに45分間つきっきりで教えることでもありません。

大切なのは、

授業の型を作り、その中で教師が直接関わる時間と、子どもが自分で学ぶ時間を組み合わせること。

そして、

その中身を子どもの実態や目標に合わせて調整すること。

です。

誰に教師がつくのか。
その間、他の子どもは何をするのか。
困ったらどうするのか。
終わったら何をするのか。

ここまでを一つの授業として考えておくと、複数学年であっても回しやすくなります。

そして、授業がうまくいかなければ、

子どもだけを見るのではなく、

教師の時間配分や課題、見通し、ルールといった授業設計そのもの

も見直します。

特別支援学級の授業では、派手な教材や大量の活動ネタよりも、

毎日安定して回せる仕組み

を作ることの方が、長期的には大きな助けになります。


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