学級経営・教室環境

情緒学級の授業はどう回す?45分を安定させる基本テンプレート

この記事では、情緒学級における一コマ45分の授業を、どのように回していくのかについて解説します。

情緒学級では、通常学級の一斉授業とは違い、学年も進度も違う子どもたちを同じ時間に見ることがあります。

たとえば、同じ教室の中に、1年生、3年生、5年生がいて、それぞれ別の国語や算数に取り組んでいるような場面です。

このような状態で、担任が全員に対して45分間ずっと個別に教え続けることはできません。

そのため、情緒学級の授業では、

・大人が関わる時間
・子どもが自分で取り組む時間
・教師のチェックを受ける時間
・終わった後に取り組む時間

を組み合わせながら、一コマの授業を作っていきます。

大切なのは、45分を全部詰め込もうとしないことです。

その時間の中心になる課題を決め、子どもが「できた」「終われた」と感じられる形で授業を閉じることを意識します。

また、記事の後半では、情緒学級の45分授業を安定させるための基本的な考え方と、国語・算数で使いやすい授業の型についてまとめていきます。

45分をフルに詰め込まなくてよい

情緒学級の授業では、45分をフルに使い切ろうとしすぎなくてよいです。

もちろん、授業時間を適当に使ってよいという意味ではありません。

ただ、毎時間の授業で、子どもに高い集中を求め続けたり、45分間ずっと新しい課題に取り組ませたりする必要はありません。

特に4月や、担任と子どもの関係がまだできていない時期は、授業の内容を詰め込みすぎない方がよいこともあります。

まず大切なのは、その授業が子どもにとって成功体験で終わるかどうかです。

ここでいう成功体験とは、大きな成果を出すことだけではありません。

・授業の流れに乗れた
・提示されたメニューを終えられた
・音読に取り組めた
・教科書の問題を一つ解けた
・プリントを最後までできた
・困ったときに先生へ助けを求められた
・途中で崩れずに45分を終えられた

こうしたことも、情緒学級では大切な成功体験です。

授業を成功体験で終えることができると、子どもは次の授業にも入りやすくなります。

反対に、授業の終わりに「できなかった」「叱られた」「最後まで分からなかった」という印象が強く残ると、次の時間への入りにくさにつながることがあります。

もちろん、学習内容を軽く扱うということではありません。

情緒学級に在籍する子どもの中には、学習内容そのものは通常学級と同じ内容で進められる子も多くいます。

そのため、必要な学習内容は押さえる必要があります。

ただし、授業の組み立てとしては、子どもが「できた」と感じられる状態で終われるように、課題の量や順番を調整することが大切です。

「今日はここまでできればよい」という中心課題を決めておく。

その中心課題が達成できたら、まずはよしとする。

この感覚を持っておくと、授業を組み立てやすくなります。

授業はパーツで考える

情緒学級の授業は、45分を一つの大きな授業として考えるよりも、いくつかのパーツを組み合わせて考えると作りやすくなります。

基本的には、次のようなパーツです。

・弾みをつける活動
・大人と一緒に取り組む活動
・自分で取り組む活動
・大人のチェックを受ける活動
・終わった後に取り組む活動

この5つを組み合わせて、一コマを作ります。

弾みをつける活動

授業の最初には、短時間で取り組める活動を入れると流れに乗りやすくなります。

時間は2〜3分程度で十分です。

5分を超えると、導入としては少し長くなることがあります。

たとえば、

・計算カード
・九九の読み上げ
・音読
・漢字の読み
・四字熟語の音読
・100マス計算
・短い書き取り
・前時の復習問題

などです。

ポイントは、短く終わることです。

そして、取り組めば達成しやすいことです。

授業の最初から「今日は無理かもしれない」と感じさせる課題を入れる必要はありません。

むしろ、

「今日もできそう」
「まず一つ終わった」
「流れに乗れた」

と感じられる活動の方が使いやすいです。

ただし、声を出す活動が苦手な子や、音に敏感な子がいる場合は、一斉音読や読み上げが負担になることもあります。

その場合は、書く活動や黙って取り組める計算などにする方がよいです。

大人と一緒に取り組む活動

授業の中心になるのは、大人と一緒に取り組む活動です。

多くの場合、ここには教科書の内容が入ります。

新しい学習内容や、初めて扱う課題は、子どもだけで進めるのが難しいことがあります。

そのため、教科書を使って新しい内容を学ぶ場面では、担任がついて説明したり、一緒に考えたりします。

情緒学級では、通常学級の授業を少人数で個別指導に近い形で行うイメージになることがあります。

同じ学年の子どもが複数いる場合は、同じ教科書の内容をまとめて見ることもできます。

たとえば、同じ学級に3年生の子どもが2人いる場合、教科書を扱う時間はその2人を一緒に見る、という形です。

自分で取り組む活動

担任が他の子どもを見ている間、子どもが自分で取り組める課題も必要です。

ここがないと、待ち時間が長くなります。

待ち時間が長くなると、何をしてよいか分からなくなったり、集中が切れたり、他の子に関わりに行ってしまったりすることがあります。

自分で取り組む活動としては、

・既習内容のプリント
・漢字練習
・計算練習
・ドリル
・読書
・タブレット学習
・知育パズル
・具体物操作
・前に学習した内容の復習

などがあります。

大切なのは、その子が一人で取り組める難易度にしておくことです。

難しすぎる課題を自力課題にすると、結局大人の支援が必要になります。

それでは、自力で取り組む時間として機能しません。

反対に、簡単すぎる課題ばかりだと、学習としての意味が弱くなったり、飽きやすくなったりします。

子どもの実態に合わせて、

「一人でできる」
「少し頑張れば終わる」
「終わりが分かる」

という課題を用意しておくとよいです。

大人のチェックを受ける活動

自力で取り組む課題であっても、最後は大人のチェックを受ける時間があるとよいです。

丸つけをする。

音読を聞く。

書いたものを確認する。

できたところを認める。

間違いを一緒に直す。

この短い関わりがあることで、子どもは「見てもらえた」と感じやすくなります。

また、教師にとっても、子どもがどこまでできているのかを把握する機会になります。

プリントやドリルは、やらせっぱなしにしないことが大切です。

短くてもよいので、できたことを確認する時間を入れると、授業の終わり方が安定します。

終わった後に取り組む活動

早く課題が終わった子のために、終わった後に取り組む活動を決めておくことも大切です。

これが決まっていないと、早く終わった子が手持ち無沙汰になります。

手持ち無沙汰な時間が増えると、教室の中が落ち着きにくくなります。

たとえば、

・読書
・タブレット学習
・知育パズル
・計算アプリ
・漢字練習
・自由帳
・次のプリント
・静かにできる課題

などを用意しておきます。

ただし、「終わったら好きなことをしてよい」にしすぎると、課題を雑に終わらせる子も出てきます。

そのため、

「ここまで終わったら、この課題をする」
「先生に見せてからタブレットを使う」
「終わったら読書をする」

のように、流れを決めておくとよいです。

教科書は中盤までに済ませる

情緒学級の授業を回す上で、かなり大切なのが、教科書を扱う時間を中盤までに済ませることです。

もちろん、必ずそうしなければならないわけではありません。

授業内容や子どもの実態によって変わります。

ただ、日々の授業を安定させるという意味では、新しい内容や大人の支援が必要な内容は、できるだけ授業の中盤までに扱う方が回しやすいです。

理由は、後半に思考系の課題を残しすぎると、教師の手が空きにくくなるからです。

たとえば、授業の終盤に教科書の新しい内容を始めると、子どもが分からなくなったときに、教師がつきっきりになります。

その間、他の子どもは待つことになります。

待ち時間が長くなると、授業を成功体験で閉じることが難しくなります。

そのため、授業の前半から中盤にかけて、学年ごとに教科書を扱う時間を取ります。

後半は、

・プリント
・ドリル
・タブレット学習
・丸つけ
・個別の確認
・片付け
・振り返り

に寄せると、授業を閉じやすくなります。

目安としては、一つの学年に対して、教科書を見る時間を7分程度確保できるとかなり回しやすいです。

たとえば、同じ時間に4学年の子どもが教室にいる場合、

4学年 × 7分 = 28分

です。

45分のうち28分で、各学年の教科書を見る時間を確保できれば、残りの時間で導入、自力課題、丸つけ、片付けなどができます。

もちろん、これはあくまで目安です。

子どもの人数、学年、教科、内容、交流学級への参加状況によって変わります。

ただ、「何となく順番に見る」のではなく、

「今日は何学年分を見なければならないのか」
「それぞれ何分くらい必要か」
「どの時間に誰を見るか」

を考えておくと、授業はかなり組み立てやすくなります。

【関連記事】情緒学級の複数学年授業・実践編|教科書学習30分をどう割り振るか

45分のモデル例

ここでは、情緒学級で複数学年を同時に見る場合の、一コマ45分のモデルを示します。

あくまで一例ですが、授業を組み立てるときの参考になります。

時間子どもの活動教師の動き
0〜3分導入、音読、計算カードなど全体を見る、流れに乗せる
3〜10分低学年は教科書、他児は自力課題低学年に関わる
10〜20分中学年は教科書、他児は自力課題中学年に関わる
20〜30分高学年は教科書、他児はプリントやドリル高学年に関わる
30〜40分プリント、ドリル、タブレット学習丸つけ、個別確認、短い支援
40〜45分片付け、できたことの確認、次時の予告成功体験で授業を閉じる

このモデルでは、授業の中盤までに教科書を扱い、後半は自力課題とフィードバックに寄せています。

低学年は、最初に見た方が流れに乗りやすいことがあります。

高学年は、自力で取り組む時間をある程度取れることが多いため、中盤に見る形にしています。

ただし、これは絶対ではありません。

低学年でも自力で取り組める子はいます。

高学年でも、丁寧な支援が必要な子はいます。

大切なのは、子どもの実態に合わせて、教師が関わる時間と自力で取り組む時間を組み合わせることです。

国語の授業テンプレート

国語の授業では、大きく分けると「読むこと」と「書くこと」が中心になります。

読むことには、

・音読
・漢字や語句を読む
・文章の内容を理解する
・登場人物の気持ちを考える
・説明文の構成を読む

などがあります。

書くことには、

・ひらがな、カタカナ、漢字の練習
・視写
・短文づくり
・読み取りの答えを書く
・自分の考えを書く
・作文

などがあります。

情緒学級の国語では、次のような流れが使いやすいです。

流れ内容
導入音読、漢字の読み、短い復習
書き取り漢字練習、視写、短文づくり
教科書新しい文章、読み取り、発問への応答
プリント既習内容、読み取り、漢字練習
タブレット学習漢字アプリ、読解練習、補充課題

国語で大人が特に関わりたいのは、教科書の内容を扱う場面です。

新しい文章を読む。

本文の意味を確認する。

登場人物の気持ちを考える。

説明文の内容を整理する。

自分の考えを書く。

こうした場面では、子どもだけで進めるのが難しいことがあります。

そのため、教科書の時間は、大人が関わる時間として確保しておきます。

一方で、漢字練習や既習内容のプリントなどは、自力で取り組む時間に回しやすいです。

もちろん、書字に苦手さがある子や、プリントへの取り組みに支援が必要な子もいます。

その場合は、量を調整したり、なぞり書きにしたり、選択肢を用意したりするなど、その子に合った形にします。

大切なのは、国語の中でも、

「一人でできる活動」
「大人と一緒にやる活動」
「大人のチェックが必要な活動」

を分けて考えることです。

算数の授業テンプレート

算数の授業も、基本的にはパーツで考えると組み立てやすくなります。

算数では、

・計算
・数量
・図形
・測定
・表やグラフ
・文章問題
・具体物操作

など、活動の種類が多くあります。

情緒学級の算数では、次のような流れが使いやすいです。

流れ内容
導入計算カード、九九、前時の復習
計算既習の計算練習、暗算、ドリル
教科書新しい考え方、解き方、具体物操作
プリント既習内容の反復、文章問題、補充課題
タブレット学習計算アプリ、図形アプリ、復習課題

算数で大人が関わりたいのは、新しい考え方を扱う場面です。

たとえば、

・繰り上がりのある足し算
・かけ算の意味
・わり算の考え方
・分数の大きさ
・図形の性質
・表やグラフの読み取り
・文章問題の立式

などです。

算数は、答えがはっきりしていることが多い一方で、考え方の段階でつまずく子もいます。

そのため、既習内容の反復練習と、新しい内容の理解を分けて考えると授業を組みやすくなります。

既習内容の計算練習は、自力課題にしやすいです。

丸つけだけ大人が行えばよい場合もあります。

一方で、新しい単元や、具体物を使って考える場面では、大人が見ている必要があることが多いです。

たとえば、数図ブロック、図形カード、定規、コンパス、時計、表やグラフなどを扱う場面です。

具体物操作は、子どもの理解を助けることがあります。

しかし、道具の出し入れや片付けに時間がかかるものは注意が必要です。

細かい道具が多いと、片付けが苦手な子にとっては負担になることもあります。

そのため、算数で具体物を使うときは、

・本当に必要か
・出し入れに時間がかかりすぎないか
・片付けまで含めて子どもが扱えるか
・大人が見るべき時間に使えているか

を考えておくとよいです。

算数は、国語に比べると、反復練習と新しい内容の理解を分けやすい教科です。

できるようになった計算は自力で繰り返す。

新しい考え方は大人と一緒に学ぶ。

この2つを分けると、授業の流れを作りやすくなります。

待ち時間を作らないための工夫

情緒学級の授業で崩れやすいのは、子どもが何をしてよいか分からない時間です。

先生が他の子を見ている。

自分の課題は終わった。

分からない問題がある。

次に何をすればよいか分からない。

こうした時間が長くなると、集中が切れやすくなります。

そのため、待ち時間にどうするかをあらかじめ決めておくことが大切です。

特に決めておきたいのは、次の3つです。

分からないとき

分からないときにどうするかを決めておきます。

たとえば、

・手を挙げて待つ
・分からない問題に印をつけて次に進む
・先生に聞くカードを置く
・ヒントカードを見る
・前にやった問題を見直す

などです。

「分からないから何もしない」状態を減らすことが大切です。

終わったとき

課題が終わったら何をするかも決めておきます。

たとえば、

・先生に見せる
・丸つけを待つ
・次のプリントに進む
・読書をする
・タブレット学習をする
・知育パズルをする

などです。

終わった後の行動が決まっていると、早く終わった子も動きやすくなります。

先生を待つとき

先生が他の子を見ていて、すぐに来られないこともあります。

そのときにどう待つかを決めておくことも大切です。

たとえば、

・静かに読書をする
・できる問題だけ進める
・待つカードを机に置く
・先生が来るまで別の課題をする

などです。

「先生が来るまで何もしない」状態が続くと、待つこと自体が負担になります。

だからこそ、待つ時間にも役割を持たせることが大切です。

授業を成功体験で閉じる

情緒学級の授業では、終わり方も大切です。

授業の最後に、子どもが「できた」「終われた」と感じられると、次の授業にも入りやすくなります。

そのため、授業の終わりには、短くてもよいので、できたことを確認する時間を入れるとよいです。

たとえば、

・プリントに丸をつける
・音読できたことを伝える
・教科書の問題が解けたことを確認する
・「今日はここまでできたね」と声をかける
・次にやることを少しだけ伝える
・片付けをして終わる

といったことです。

ここで大切なのは、完璧にできたかどうかだけを見るのではないということです。

授業の流れに乗れた。

途中で切り替えられた。

困ったときに助けを求められた。

最後まで席に戻って取り組めた。

自分の課題を一つ終えられた。

こうしたことも、情緒学級では大切な成長です。

授業の最後に、子どもが自分の頑張りを少しでも確認できるようにする。

教師も、その子の取り組みを短く言葉にして返す。

それだけでも、授業の終わり方はかなり変わります。

もちろん、毎時間丁寧な振り返りをする必要はありません。

忙しい日もあります。

予定通りに進まない日もあります。

それでも、最後に一言、

「ここまでできたね」
「今日は音読に入れたね」
「プリントを最後まで終われたね」
「分からないところを聞けたね」

と伝えるだけで、授業の印象は変わります。

授業は、始め方だけでなく終わり方も大切です。

成功体験で閉じることを意識すると、45分の流れが安定しやすくなります。

まとめ

情緒学級の授業は、教師が45分間ずっと教え続けるものではありません。

大切なのは、

・大人が関わる時間
・子どもが自分で取り組む時間
・教師のチェックを受ける時間
・終わった後に取り組む時間

を組み合わせて、授業全体の流れを作ることです。

45分をフルに詰め込む必要はありません。

その時間の中心課題を決め、子どもが「できた」「終われた」と感じられる形で授業を閉じることが大切です。

授業の最初には、短く弾みをつける活動を入れる。

教科書など、大人の支援が必要な内容は中盤までに扱う。

後半は、プリント、ドリル、タブレット学習、丸つけ、個別確認に寄せる。

分からないとき、終わったとき、先生を待つときの動きも決めておく。

そして最後は、できたことを確認して終わる。

この流れがあるだけで、情緒学級の授業はかなり回しやすくなります。

授業づくりで迷ったときは、

「この活動は大人と一緒にやるものか」
「この活動は子どもが自分でできるものか」
「終わった後に何をするか決まっているか」
「授業の最後に成功体験で閉じられるか」

という視点で見直してみてください。

型があると、先生も子どもも動きやすくなります。

情緒学級の授業は、気合いで45分を乗り切るものではありません。

子どもが学びやすく、先生も回しやすい流れを作ること。

そのために、授業をパーツに分けて設計していくことが大切です。

情緒学級の45分授業チェックリスト

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