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子どもの頑張りを家庭へ届ける|情緒学級担任のメッセージカード実践

情緒学級担任として子どもや保護者と良好な関係を築くためには、日頃から子どものよい姿を見つけ、それを具体的な言葉にして伝えることが大切です。

しかし、学校で見られた子どもの頑張りや成長は、意識して伝えなければ家庭まで届かないこともあります。

そこで私が行っていたのが、小さなメッセージカードに、その日の頑張りや成長、担任からの短いメッセージを書いて渡す実践です。

メッセージカードそのものが関係性を築いてくれるわけではありません。大切なのは、担任が子どもの姿を見ていることを、具体的な言葉にして本人と家庭へ届けることです。

比較的少ない準備で始めやすく、子どものよい姿を継続的に伝えられる実践の一つとして紹介します。

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メッセージカードに子どものよい姿を書く

メッセージカードには、その子どもの名前(〜〜さん)、その日に見られた子どもの頑張りや成長、担任がうれしいと感じた姿などを書きます。

例えば、次のような姿です。

  • 授業中に集中して取り組んでいた
  • 困ったときに自分から助けを求められた
  • 友達や教師の手伝いをしていた
  • 苦手な活動にも自分なりの方法で参加した
  • 気持ちを切り替えて活動へ戻ることができた
  • 好きなことに夢中になって取り組んでいた
  • 挨拶や返事が明るく、周囲を元気にしていた

特別に大きな出来事を書く必要はありません。

「名前を呼ばれたときの返事が、いつも明るくて気持ちがよいです」

「給食の片付けを手伝ってくれて助かりました」

「分からないときに『教えてください』と伝えられましたね」

このような日常の小さな姿でも十分です。

自発的に行動できた場面だけでなく、教師が声をかけたり、環境を整えたりしたことで見られたよい反応を書いても構いません。

ただし、教師の指示に従えたことだけに偏らないように注意します。

その子なりの工夫や成長、好きなことへの集中、自分を守るために休憩を選べたことなども、大切な姿です。

メッセージカードは、よい行動をさせるためのご褒美ではありません。担任が見つけた子どもの姿を、言葉にして本人へ返すためのものです。

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最初は週に1回程度でもよい

メッセージカードは、最初から毎日書く必要はありません。

まずは一人につき週に1回程度から始めてもよいでしょう。

私の学級は8人程度だったため、一人分を1~2分で書けば、記入だけなら全員分を15分程度で終えられました。週に1枚なら、1週間の中で合計15分程度を確保すれば書くことができます。

慣れてくると、休み時間や給食の合間など、ちょっとした隙間時間に書けるようになります。

ただし、慣れたからといって頻度を増やす必要はありません。

週に1回でも、月に数回でも構いません。無理なく続けられる頻度を優先します。

子どもの姿を観察したメモをもとに、後からまとめて書く方法もあります。印象に残る姿があったときに、その場ですぐ書いてもよいでしょう。

担任自身が続けやすい方法を選ぶことが大切です。

用意するものはカードとペンだけ

用意するものは、メッセージカードのひな形とペンだけです。

私の場合は、色紙を葉っぱの形に切り、教室の事務机にストックしていました。

色紙は、文字が読みやすいように”淡い色あいのもの”を選ぶようにしていました。

大きさは、大人の手のひらに収まる程度です。子どもが持つことができ、読みやすい大きさの文字を書き込めるサイズにしていました。

葉っぱの形にしていたのは、「成長する若葉」という意味を持たせたかったからです。一方で、形が比較的単純で、文章を書きやすいという実務的な理由もありました。

銀杏の葉や雪だるまなど、季節に合わせた形も試しました。しかし、輪郭が複雑なカードは文章の改行が不自然になりやすく、思った以上に書きにくいという問題がありました。

そのため、最終的には、見た目の華やかさよりも書きやすさを優先するようになりました。

カードの形や大きさに決まりはありません。

長方形のカードでも、付箋でも、学校にある用紙を小さく切ったものでも構いません。準備に時間をかけすぎないことが、無理なく続けるためのポイントです。

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子ども本人に伝えてから渡す

私は、帰りの会や帰りの支度をする時間に、子ども本人へメッセージを読んで聞かせてからカードを渡していました。

カードだけを渡しても、自分から読まない子どももいます。また、そのまま机やカバンの中へ入れ、家庭まで持ち帰らないこともあります。

担任が直接読むことで、書いた内容を確実に本人へ伝えられます。

「先生は今日の自分の姿を見ていた」

「頑張ったことに気づいてもらえた」

という感覚を持ちやすくなることも、この渡し方のよさです。

また、その日の終わりを、よかったことやできたことで閉じることができます。

週に1枚程度なら、金曜日など週の終わりに渡す方法もあります。私は、1日や1週間の最後を気持ちよく閉じることも、この実践の狙いの一つとしていました。

ただし、直接読まれることを恥ずかしく感じる子どももいます。

その場合は、本人に静かに読んでもらう、連絡帳へ挟んでから一言だけ伝えるなど、その子が受け取りやすい方法に変えて構いません。

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家庭まで届く動線をつくる

メッセージカードは、家庭まで届いて初めて、保護者への情報共有にもつながります。

子どもによっては、カードを渡した後に、パスケースへ入れるところや、連絡帳に挟むところまで確認した方がよい場合があります。

カバンの中へ入れただけでは、底でくしゃくしゃになり、保護者が見ないまま終わることもあります。

全員を細かく管理する必要はありませんが、自分で持ち帰ることが難しい子どもについては、保護者が見る動線へ乗るところまで支援します。

カードが積み重なることで、保護者にも、学校での子どもの様子が少しずつ伝わります。

実際に、私が渡したカードを部屋の壁に貼っていると教えてくださった保護者も何人かいました。

学校での子どもの姿を直接見ることができない保護者にとって、担任から届く具体的なエピソードは、子どもの成長を知る貴重な材料になります。

また、カードが残ることで、「この先生は子どもの姿を見てくれている」という感覚にもつながっていきます。

残るものだからこそ、書き方には注意する

メッセージカードは、口頭での会話とは異なり、文字として家庭に残ります。

そのため、書く内容や表現には注意が必要です。

私は、メッセージカードには、基本的に困った場面やネガティブな経過を書かないという保守的な運用をしていました。

例えば、次の文章は、一見すると成長を伝えているように見えます。

今日の算数では、問題を解いているときに気持ちが落ち着かなくなったけれど、クールダウンをして戻ってくることができたね。少しずつ前進している姿を見られたことがうれしかったです。

しかし、この文章には「気持ちが落ち着かなくなった」という表現が含まれています。

担任と子ども、保護者との間に十分な共通理解がない段階では、カードを読んだ保護者が、想定とは違う受け止め方をする可能性があります。

気持ちの切り替えについて書きたいのであれば、

算数では、自分で気持ちを切り替え、最後まで問題に取り組む時間が長くなってきましたね。

など、その日に見られたポジティブな姿を中心に書きます。

年度当初から無理に踏み込んだ内容を書く必要はありません。

4月や5月は、頑張っていた活動や具体的にできたことなど、誤解の生まれにくい内容から始めると安心です。

子どもの受け取り方や家庭との関係性が分かってきてから、少しずつ内容を深めてもよいでしょう。

また、次のような内容は書かないようにします。

  • 他の子どもの名前や行動
  • 家庭の事情
  • 診断名や障害特性に関する踏み込んだ評価
  • 子どもが読んで傷つく可能性のある表現
  • 第三者に見られると困る内容
  • 担任の憶測や根拠のない見立て

カードを書く際は、「子ども本人が読んだらどう感じるか」「家庭以外の人が偶然見ても問題がないか」という視点を持つことが大切です。

必要な連絡は別の方法で伝える

メッセージカードは、必要な連絡や課題の共有を置き換えるものではありません。

家庭と共有する必要がある出来事や、今後の支援について相談したいことは、電話、連絡帳、面談など、その内容に適した方法で別に伝えます。

メッセージカードではよいことだけを書き、困ったことを家庭へ伝えないという意味ではありません。

ポジティブな情報を届ける経路と、必要な連絡や相談をする経路を分けて考えます。

日頃から子どものよい姿が伝わっていると、課題について相談する必要が生じたときにも、保護者と話し合いやすくなることがあります。

問題が起きたときだけ連絡する関係ではなく、普段から子どもの姿を共有しておくことが大切です。

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行事や学期末には少し特別なカードにする

日常的なメッセージカードに慣れてきたら、行事や学期末に少し大きなカードを渡すこともできます。

運動会や校外学習などの後には、普段より長めのメッセージを書いたり、カードに縁取りを付けたりして、少し特別なものとして渡していました。

ただし、装飾に力を入れすぎる必要はありません。

普段より少し大きい、いつもと違う色を使うといった小さな変化でも、十分に特別感を出すことができます。

同僚や管理職にも意図を共有しておく

学級独自の実践としてメッセージカードを始める場合は、その意図や頻度について、同僚や管理職へ簡単に共有しておくと安心です。

学校教育は、担任一人だけで行うものではありません。

同僚に同じ実践を求める必要はありませんが、

「子どものよい姿を本人と家庭へ伝えるために、無理のない範囲でカードを渡している」

という意図を伝えておくことで、周囲からも理解を得やすくなります。

また、この実践が翌年度以降も必ず続く制度であるかのように受け取られないようにすることも大切です。

「去年の担任はしてくれたのに、今年の担任はしてくれない」という比較が生じる可能性もあります。

そのため私は、派手な取り組みにせず、無理のない頻度で、一つ一つの内容を丁寧に書くことを意識していました。

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すべての子どもや家庭に響くとは限らない

私の経験では、メッセージカードを喜んでくれた子どもや保護者は多くいました。

一方で、カードをカバンの隅でくしゃくしゃにしている子どももいました。

直接褒められることを苦手に感じる子どももいれば、カード自体にはあまり興味を示さない子どももいます。保護者の受け止め方も家庭によって異なります。

すべての子どもや保護者に対して有効な実践ではありません。

反応が薄いからといって、子どもや保護者が担任の気持ちを否定しているわけでもありません。単に、その人にはカードという方法が合っていない可能性があります。

カードへの反応を見ながら、渡し方を変える、頻度を減らす、別の方法で伝えるといった調整をします。

負担になるなら無理に続けなくてよい

メッセージカードは、あくまで関係づくりを支える手段の一つです。

日々の記録や文章を書くことに強い負担を感じる担任もいると思います。

カードを書く時間を確保するために、子どもと関わる時間が減ったり、担任の余裕がなくなって関わりの質が落ちたりするのであれば、本末転倒です。

自分にもできそうだと感じたら試してみて、合わなければやめても構いません。

年度当初から始める必要もありません。学級の状態が落ち着いた2学期から始めてもよいですし、行事や学期末だけ取り入れる方法もあります。

余裕があるときに試せる、プラスアルファの実践として捉えてください。

まとめ

メッセージカードは、子どもの頑張りや成長を短い言葉にして本人へ返し、その姿を家庭にも届けるための実践です。

大切なのは、きれいなカードを作ることや、毎日欠かさず書くことではありません。

担任が子どもの姿を見つけ、それを具体的な言葉にして伝えることです。

  • 最初は週に1回程度から始める
  • 特別な出来事だけでなく、日常の小さな姿を書く
  • 子どもが受け取りやすい方法で渡す
  • 家庭まで届く動線をつくる
  • 文字として残ることを意識して表現を選ぶ
  • 必要な連絡や課題の共有は別の方法で行う
  • 負担になる場合は無理に続けない

メッセージカードは万能な方法ではありません。

それでも、子どものよい姿を意識して探し、言葉にして伝える習慣は、子どもや保護者との関係づくりを支える一つの方法になります。

担任自身と学級の実態に合いそうであれば、無理のない頻度から試してみてください。

【メッセージカード文例集】

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