はじめての情緒学級担任へ

情緒学級担任になったら4月に何をする?最初に押さえたい5つのこと

4月から情緒学級の担任を任されることになった場合、通常学級とは勝手が違って戸惑うことも多いと思います。

特に、初めて情緒学級を担任する先生にとっては、

「まず何から準備すればいいのか」
「授業はどう回せばいいのか」
「保護者や交流学級とはどう関わればいいのか」
「子どもが荒れたらどうすればいいのか」

といった不安が出てきやすいのではないでしょうか。

先にお伝えしておくと、4月の時点で完璧な学級経営や完璧な個別指導を作る必要はありません。

もちろん、準備は大切です。

しかし、情緒学級の4月で本当に大切なのは、最初からすべてをうまく回すことではなく、子どもが安心して登校できる土台を作ることです。

そのために、まず押さえておきたいのは次の5つです。

・子ども、保護者、同僚の情報を確認する
・教室環境をシンプルに整える
・一日の予定や見通しを分かりやすくする
・授業の流れをある程度テンプレート化する
・子どもの様子を短く記録する習慣を作る

この記事では、情緒学級の4月準備を「先生の頑張り方」ではなく、「子どもが安心して過ごしやすくなる仕組みづくり」として整理します。

4月は「完璧な授業」よりも「安心して過ごせる土台」づくり

情緒学級の4月は、子どもにとっても先生にとっても変化の大きい時期です。

担任が変わる。

教室が変わる。

交流学級が変わる。

時間割が変わる。

周りの友達や関わる先生が変わる。

こうした変化は、情緒学級に在籍する子どもにとって大きな負担になることがあります。

もちろん、すべての子どもが4月に不安定になるわけではありません。

しかし、環境の変化や予定の見通しにくさによって、普段より疲れやすくなったり、気持ちの切り替えが難しくなったりする子はいます。

そのため、4月からいきなり学習をどんどん進めようとするよりも、まずは安心して過ごせる土台を作ることが大切です。

ここでいう土台とは、たとえば次のようなものです。

・教室に入ったら何をすればよいか分かる
・自分の持ち物をどこに置けばよいか分かる
・今日の予定が分かる
・困ったときに誰に言えばよいか分かる
・落ち着きたいときにどうすればよいか分かる
・先生が自分のことを分かろうとしてくれていると感じられる

4月の時点では、先生もまだ子どもの実態を十分につかめていません。

前年度からの引き継ぎや記録はありますが、実際に自分が関わってみないと分からないこともたくさんあります。

だからこそ、最初から完璧な対応を目指すよりも、

「まずは子どもを見る」
「安心して過ごせる環境を作る」
「困ったときに相談できる体制を作る」

という意識で始める方が、結果的に学級が安定しやすくなります。

1. 子ども・保護者・同僚の情報を確認する

4月にまず行いたいのが、情報確認です。

情緒学級の担任として見るべき情報は、ざっくり分けると次の3つです。

・子どもの情報
・保護者の情報
・同僚や校内体制の情報

この3つは、どれか一つだけを見ればよいというものではありません。

子どもの実態を知ることも大切です。

保護者の願いやこれまでの経緯を知ることも大切です。

そして、校内で誰に相談できるのかを把握することも大切です。

【関連記事】情緒学級担任の役割とは?|子ども・保護者・学校をつなぐ仕事

子どもの情報を確認する

まずは、子どもについての情報を確認します。

見るものとしては、主に次のようなものがあります。

・個別の教育支援計画
・個別の指導計画
・前年度担任からの引き継ぎ資料
・過去の記録
・交流学級での様子
・保護者から共有されている情報

特に確認しておきたいのは、次のような内容です。

・好きなこと、得意なこと
・苦手なこと
・不安定になりやすい場面
・落ち着きやすい関わり方
・避けた方がよい刺激や対応
・クールダウンの方法
・友達との関わり方
・交流学級での参加状況

ここで大切なのは、記録を読むことと、記録を鵜呑みにしすぎないことの両方です。

もちろん、前年度までの記録はとても大事です。

その子に関わってきた先生方の積み重ねなので、必ず目を通しておくべきです。

ただし、記録には書いた人の見立てや印象が含まれていることもあります。

また、情緒学級の子どもの様子は、関わる大人、周囲の子ども、教室環境、その時期の状態によって変わることもあります。

前年度まで不安定に見えていた子が、新しい環境や関係性の中で落ち着くこともあります。

反対に、これまで落ち着いていた子が、担任や教室の変化によって一時的に不安定になることもあります。

そのため、記録は大切な出発点ですが、最終的には目の前の子どもの姿を見ながら更新していくことが必要です。

【関連記事1】情緒学級の支援|まず子どもの何を見るのか

【関連記事2】個別の教育支援計画・指導計画を読むときのポイント|子どもと保護者理解につなげる

保護者の情報を確認する

次に、保護者に関する情報も確認しておきます。

情緒学級では、通常学級以上に保護者と深く関わる場面が多くなることがあります。

登下校時に顔を合わせることもありますし、連絡帳や電話、懇談などでやり取りする機会もあります。

まずは、個別の教育支援計画などを通して、保護者が何を願っているのかを確認しておきましょう。

たとえば、

・学校でどのように過ごしてほしいのか
・どのような成長を願っているのか
・家庭ではどのような困り感があるのか
・前年度まで学校とどのようなやり取りをしてきたのか
・保護者が不安に思っていることは何か

といった点です。

ここで大切なのは、最初から立派な方針を語ろうとしすぎないことです。

もちろん、担任としての考えを持つことは大切です。

しかし、4月の段階では、まず保護者の思いやこれまでの経緯を知ることが優先です。

保護者は、その子のことを長く見てきた一番身近な大人です。

学校とは違う場面での子どもの姿を知っています。

教師が知らない情報をたくさん持っています。

だからこそ、保護者を「対応する相手」としてだけ見るのではなく、子どもを支えるための重要な情報源であり、協力者として捉えることが大切です。

【関連記事】:情緒学級の保護者対応で大切なこと|子どもの頑張りを共有する関係づくり

同僚や校内体制の情報を確認する

もう一つ大切なのが、校内で誰に相談できるのかを確認することです。

情緒学級の担任は、一人で全てを抱え込む必要はありません。

むしろ、安定して学級を回すためには、校内の先生方と連携することが必要です。

確認しておきたい相手としては、たとえば次のような人がいます。

・特別支援学級の主任
・特別支援教育コーディネーター
・同じ特別支援学級の担任
・交流学級の担任
・養護教諭
・支援員の先生
・教務主任
・管理職
・前年度にその子に関わっていた先生

特別支援教育は、想像以上に多くの人が関わっている領域です。

だからこそ、4月の早い段階で、

「誰に何を相談できるのか」
「どの場面では誰と連携するのか」
「交流学級との連絡はどうするのか」
「子どもが不安定になったときの校内体制はどうなっているのか」

を確認しておくと、後から動きやすくなります。

特に初めて情緒学級を担任する場合は、遠慮しすぎずに相談することが大切です。

教員は基本的にチーム仕事です。

自分だけで抱え込むよりも、早めに相談した方が、子どもにとっても担任にとってもよい形になりやすいです。

【関連記事】情緒学級担任が同僚と関係を作るには?相談しやすいチームを作る考え方

2. 教室環境をシンプルに整える

4月の準備でかなり大事なのが、教室環境です。

情緒学級では、教室の環境が子どもの落ち着きやすさに大きく関わります。

特に意識したいのは、

・ものを少なくする
・置き場所を明確にする
・刺激を減らす
・子どもが迷わないようにする
・後から個別対応できる余白を残す

ということです。

教室に物が多すぎると、子どもにとって刺激が増えます。

何を見ればよいのか分かりにくくなります。

触ってよい物と触ってはいけない物の区別も曖昧になります。

その結果、子どもが勝手に物を触ってしまい、後から注意されるという流れが起きやすくなります。

私は、こういう状態をできるだけ避けた方がよいと考えています。

触ってほしくない物を子どもの手の届く場所に置いておき、触った後で叱るのは、支援としてはあまり良い形ではありません。

最初から触らなくて済む環境を作っておくことも、担任の大切な仕事です。

要するに、子どもに余計な失敗をさせない環境を作るということです。

具体的には、次のようなことを確認しておくとよいです。

・教室前面はできるだけすっきりさせる
・教師用の物は子どもが勝手に触れない場所に置く
・児童ごとのロッカーや持ち物置き場を明確にする
・教材や文房具の置き場所を決める
・使う物と使わない物を分ける
・クールダウンや個別対応に使えるスペースを残す
・掲示物を貼りすぎない

特に、児童のロッカーや持ち物置き場は大切です。

荷物や道具が混ざると、それだけでトラブルの原因になることがあります。

「どこに何を置くのか」がはっきりしているだけで、子どもも大人も動きやすくなります。

また、4月の時点では必要ないと思っていても、年度途中からクールダウンスペースや個別対応用の場所が必要になることもあります。

そのため、最初から教室を物で埋めすぎない方がよいです。

余白のある教室は、後から支援を調整しやすくなります。

【関連記事】情緒学級の教室環境づくり|子どもが迷わず動ける教室を作るポイント

3. 一日の予定や見通しを分かりやすくする

情緒学級では、「見通し」がとても大切です。

今日、何をするのか。

次に何があるのか。

どの時間に交流学級へ行くのか。

いつ戻ってくるのか。

予定が見えているだけで、安心して動きやすくなる子どもは多いです。

逆に、予定が分からない状態が続くと、不安になったり、切り替えが難しくなったりすることがあります。

そのため、4月のうちに、予定を分かりやすく確認できる仕組みを作っておくとよいです。

たとえば、

・一日の予定を黒板やホワイトボードに掲示する
・児童ごとの時間割を見える場所に置く
・交流学級へ行く時間を分かりやすくする
・予定変更があったら早めに伝える
・終わった活動が分かるようにする
・次にやることを視覚的に示す

といった方法があります。

児童ごとに予定が違う場合は、担任の頭の中だけで管理しようとするとかなり大変です。

情緒学級では、同じ時間に、

Aさんは交流学級で体育。

Bさんは情緒学級で算数。

Cさんは支援員の先生と個別課題。

というようなこともあります。

これを担任だけが把握している状態だと、支援員の先生や他の先生が動きにくくなります。

だからこそ、予定はできるだけ見える形にしておくとよいです。

予定表は、子どものためだけではありません。

担任のためでもあります。

支援員の先生のためでもあります。

交流学級の先生や、教室に入ってくる他の先生のためでもあります。

予定が見える化されていると、

「Aさんは今、交流学級に行っている」
「Bさんは次の時間に戻ってくる」
「Cさんは今日はこの授業には参加しない」

といったことを、周囲の大人も把握しやすくなります。

これは、学級を安定して回す上でかなり大きな助けになります。

【関連記事】情緒学級で子どもに見通しを持たせる支援|予定・ゴール・困った時の動き方を示す

4. 授業の流れをある程度テンプレート化する

情緒学級の授業では、担任が一人の子どもにつきっきりで45分間教え続けることは難しいです。

学年も違う。

教科も違う。

進度も違う。

その中で授業を回すことになります。

だからこそ、授業の流れをある程度テンプレート化しておくと楽になります。

ここでいうテンプレートとは、毎回まったく同じ授業をするという意味ではありません。

子どもが、

「今は何をする時間なのか」
「終わったら何をするのか」
「先生を待っている間に何をするのか」
「困ったときはどうすればいいのか」

を分かりやすくするための基本の型です。

たとえば、1時間の中に次のような時間を作ります。

・先生と一緒に取り組む時間
・自分で課題に取り組む時間
・終わった後に取り組む時間
・分からないときに待つ、または助けを求める時間

情緒学級では、「何をしたらよいか分からない時間」をできるだけ減らすことが大切です。

何をすればよいか分からない時間が長くなると、立ち歩きや私語、物へのこだわり、友達へのちょっかいなどにつながることがあります。

もちろん、それらをすべて授業の組み立てだけで防げるわけではありません。

しかし、授業の流れが分かりやすいだけで、子どもが落ち着いて取り組みやすくなることはあります。

自力でできる課題を用意しておくことも大切です。

たとえば、既習内容のプリント、漢字練習、計算練習、読書、知育パズル、学習アプリなどです。

ただし、何でもよいわけではありません。

その子が一人で取り組める難易度であること。

終わりが分かりやすいこと。

終わった後に何をするかが決まっていること。

このあたりを意識しておくと、授業が回しやすくなります。

4月の段階では、授業の完成度を高めることよりも、

「この時間はこういう流れで進む」
「先生が他の子を見ている間、自分はこれに取り組む」
「終わったらこれをする」

という基本の流れを作ることを優先するとよいです。

【関連記事】情緒学級の授業はどう回す?45分を安定させる基本テンプレート

5. 子どもの様子を短く記録する習慣を作る

最後に、4月からぜひ始めてほしいのが、子どもの様子を記録する習慣です。

記録というと、きちんとした文章を書かなければいけないように感じるかもしれません。

しかし、最初から完璧な記録を目指す必要はありません。

短いメモで十分です。

たとえば、

・今日できたこと
・落ち着いて過ごせた場面
・不安定になったきっかけ
・切り替えにかかった時間
・効果があった声かけ
・うまくいかなかった対応
・保護者に伝えたいこと
・次に試したいこと

このようなことを、1日1〜3個でも残しておくと、後からかなり役立ちます。

人間の記憶は思っている以上に曖昧です。

特に忙しい日が続くと、子どもの様子は印象で残りやすくなります。

「最近落ち着いている気がする」
「この子はいつも荒れる」
「なんとなく交流学級が苦手そう」

という印象だけでは、支援を考えるときに弱くなります。

記録があると、

「どの時間に不安定になりやすいのか」
「どの声かけで切り替えられたのか」
「どの活動では落ち着いて参加できたのか」
「どの先生との関わりでは安定しやすいのか」

といったことを振り返りやすくなります。

また、記録は保護者対応にも役立ちます。

「今日は落ち着いていました」だけではなく、

「今日は算数のプリントを最後まで取り組めました」
「体育の前は不安そうでしたが、予定を確認すると参加できました」
「休み時間の後は切り替えに時間がかかりましたが、5分ほど静かな場所で過ごすと戻れました」

のように、具体的に伝えやすくなります。

通知表や個別の指導計画の評価を書くときにも、日々の記録は助けになります。

学期末になってから思い出そうとしても、具体的なエピソードは意外と出てきません。

だからこそ、4月のうちから短くてもよいので記録を残す習慣を作っておくことをおすすめします。

【関連記事】情緒学級の実態把握|子どもの姿を記録して見立てを作る方法

4月にやらなくていいこと

ここまで、4月に押さえておきたいことを書いてきました。

ただし、やることばかり並べると、かえって不安になる先生もいるかもしれません。

そこで、反対に「4月から無理にやらなくてもいいこと」も書いておきます。

4月の時点で、すべての支援を完成させる必要はありません。

最初から完璧な教材を作り込む必要もありません。

保護者に立派な方針を語ろうとしすぎる必要もありません。

交流学級への参加を最初から完璧に回そうとしなくても大丈夫です。

子どもの実態を一瞬で理解しようとしなくても大丈夫です。

大切なのは、子どもの様子を見ながら少しずつ調整していくことです。

情緒学級の担任は、気合いだけで子どもを受け止める仕事ではありません。

子どもが迷いにくい環境を作る。

予定の見通しを持てるようにする。

授業の流れを分かりやすくする。

困ったときに相談できる人を作る。

日々の様子を記録して、次の支援に生かす。

こうした小さな準備や工夫の積み重ねが、結果的に子どもの安心感につながります。

まとめ

今回は、情緒学級担任になった先生が4月にまず押さえておきたいことを整理しました。

4月に大切なのは、完璧な授業や完璧な支援をいきなり作ることではありません。

まずは、子どもが安心して過ごせる土台を作ることです。

そのために、最初に意識したいのは次の5つです。

・子ども、保護者、同僚の情報を確認する
・教室環境をシンプルに整える
・一日の予定や見通しを分かりやすくする
・授業の流れをある程度テンプレート化する
・子どもの様子を短く記録する習慣を作る

情緒学級の担任は、一人で全部を抱え込む必要はありません。

子どもの実態を知り、教室環境を整え、予定を見えるようにし、周囲の先生と連携しながら、少しずつ学級の流れを作っていけば大丈夫です。

最初から完璧を目指すよりも、子どもをよく見て、必要な支援を少しずつ調整していくこと。

それが、情緒学級の4月スタートではとても大切です。

今後の記事では、

・情緒学級の教室環境の作り方
・情緒学級の授業を45分でどう回すか
・交流学級との連携の仕方
・保護者との関係づくり
・子どもの記録をどう残すか

といった内容について、さらに具体的に書いていきます。

確認用として、このチェックリストを使ってみてください。

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