保護者・校内連携

保護者に気になる姿を伝える言い方|責めずに相談する考え方と文例

学校での子どもの姿を保護者に伝えるとき、良い姿だけを伝えればよいわけではありません。

ときには、担任として気になる姿を共有しなければならない場面もあります。

授業中に集中が続きにくい。
友達との関わりで言葉が強くなる。
気持ちの切り替えに時間がかかる。
予定が変わると不安定になりやすい。
交流学級での参加が難しい場面がある。

こうした姿を保護者に伝えるとき、担任は少し慎重になります。

「責めているように聞こえないだろうか」
「家庭のせいだと思われないだろうか」
「どう伝えれば、前向きな相談になるだろうか」

このように悩むこともあると思います。

保護者に気になる姿を伝えるときに大切なのは、うまい言い回しだけではありません。

大切なのは、子どもの姿を事実として丁寧に伝え、そのうえで、学校と家庭で一緒に支援を考えていく姿勢です。

この記事では、保護者に気になる姿を伝えるときの考え方と、連絡帳・電話・面談などで使いやすい伝え方の例をまとめます。

気になる姿を伝える目的は、責めることではない

まず大前提として、保護者に気になる姿を伝える目的は、保護者を責めることではありません。

家庭で何とかしてください。
もっと厳しく言ってください。
家でのしつけが足りないのではないですか。

このような意味で伝えるものではありません。

学校で見えている子どもの姿を共有し、これからどのように支援していくかを一緒に考えるために伝えます。

特に情緒学級では、通常学級だけでは見えにくい困り感を丁寧に見取り、環境や関わり方を調整しながら支援していくことが大切になります。

そのためには、子どもの姿を曖昧にしすぎないことも必要です。

気になる姿があるのに、保護者に悪く思われたくないからといって、下手にぼかして伝える。
問題が大きくならないように、軽く見せて伝える。
本当は支援が必要なのに、「大丈夫です」と言い続ける。

こうした対応を続けていると、長い目で見て支援の方向性がずれてしまうことがあります。

もちろん、必要以上に深刻に伝える必要はありません。

ただ、学校で見えている姿を事実として共有することは、子どもに必要な支援を考えるために大切です。

保護者に伝えるときの基本は、

「困っているので何とかしてください」

ではなく、

「学校ではこのような姿が見られています。今後の支援を一緒に考えたいです」

という姿勢です。

責めるのではなく、相談する。
指摘するのではなく、共有する。
家庭に返すのではなく、学校と家庭で考える。

この意識を持っておくと、伝え方はかなり変わります。

【関連記事】情緒学級担任の役割とは?|子ども・保護者・学校をつなぐ仕事

事実を歪めずに伝える

保護者に気になる姿を伝えるときは、事実を歪めずに伝えることが大切です。

ただし、事実を伝えることと、きつい言い方をすることは違います。

たとえば、

「落ち着きがありません」
「わがままなところがあります」
「友達に乱暴です」
「注意しても聞きません」

このような言い方は、担任の印象や評価が強く出ます。

保護者によっては、「我が子を否定された」と感じるかもしれません。

同じことを伝える場合でも、できるだけ場面と行動で伝えるとよいです。

たとえば、

「予定が変わった場面で、不安が強くなり、教室に入りにくいことがありました」

「休み時間に友達と思いがずれたとき、強い言葉で伝えてしまう場面がありました」

「授業の後半になると疲れが出やすく、席を離れて休憩したくなることがあります」

「声をかけるだけでは切り替えにくい場面があり、少し時間を置くと落ち着いて話を聞けることがあります」

このように伝えると、子どもの姿が具体的になります。

大切なのは、子どもの性格を決めつけることではありません。

どの場面で、どのような姿が見られたのか。
その前に何があったのか。
教師はどのように関わったのか。
その後、子どもはどのように落ち着いていったのか。

この流れを伝えることです。

事実を丁寧に伝えることで、保護者も学校での様子をイメージしやすくなります。

また、担任が感情的に伝えているのではなく、子どもの姿を見取ったうえで共有していることも伝わりやすくなります。

【関連記事】情緒学級で問題行動をどう見るか|前後関係から見立てを作るポイント

できていることを起点に伝える

気になる姿を伝えるときは、できていないことから話し始めない方がよいです。

もちろん、緊急性が高い場合や、怪我・安全に関わる場合は別です。

しかし、日常的な支援の相談であれば、まずはできていることや頑張っていることを起点にした方が、保護者は受け止めやすくなります。

たとえば、

「今日は交流学級の算数で、前半は落ち着いて参加できていました」

「最近、朝の支度はかなりスムーズになってきています」

「友達と関わりたい気持ちは以前よりもよく出てきています」

「困ったときに、少しずつ言葉で伝えようとする姿が増えています」

このように、まずは今できていることを伝えます。

そのうえで、

「一方で、後半になると疲れが出やすい様子があります」

「ただ、思いが強くなったときに、言葉がきつくなる場面があります」

「予定が変わる場面では、不安が強くなりやすいようです」

と続けると、気になる姿も共有しやすくなります。

子どもの姿は、気になる場面だけを切り取ると、かなり悪く見えてしまうことがあります。

しかし、実際にはその前後があります。

最初から崩れていたわけではない。
途中までは落ち着いていた。
声をかけると戻れた。
少し休憩すれば再参加できた。
友達と関わりたい気持ちはあった。

このような前後の流れまで含めて見ることが大切です。

個人的には、気になる姿があったときは、その場面だけを見るのではなく、前後を含めて5〜10コマくらいの場面として見るとよいと思っています。

どのように始まり、どこで難しくなり、どのように戻っていったのか。

この流れが見えると、保護者にも伝えやすくなります。

【関連記事】情緒学級の支援|まず子どもの何を見るのか

気になる姿は「一場面」として伝える

保護者に伝えるときは、気になる姿だけを大きく取り上げすぎないことも大切です。

たとえば、授業中に席を離れた場面があったとします。

このとき、

「今日、授業中に席を離れました」

だけを伝えると、保護者はその場面だけを強く受け取ります。

もちろん、それが必要な場合もあります。

ただ、支援につなげるためには、もう少し流れを伝えた方がよいです。

たとえば、

「今日の算数では、最初の10分ほどは落ち着いて参加できていました。途中で問題が難しくなったあたりから手が止まり、その後、席を離れる場面がありました。少し離れた場所で休憩したあと、最後の振り返りには戻ることができました」

このように伝えると、見え方が変わります。

この伝え方では、単に「席を離れた」という事実だけでなく、

前半は参加できていたこと。
難しい問題がきっかけになった可能性があること。
休憩を入れると戻れたこと。
最後には再参加できたこと。

ここまで共有できます。

この情報があると、次の支援も考えやすくなります。

「問題が難しくなる前にヒントを出した方がよいかもしれない」
「途中で短い休憩を入れると参加しやすいかもしれない」
「最後まで座り続けることより、戻ってこられることを評価した方がよいかもしれない」

このように、支援の方向性につながります。

気になる姿を伝えるときは、その姿を「問題」として切り取るのではなく、子どもの一連の流れの中に位置づけて伝えることが大切です。

【関連記事】スモールステップとは何か|できないことを少しずつできる形にする

担任としての見立てと手立ても伝える

気になる姿を伝えるときに、事実だけを伝えて終わると、保護者は不安になります。

「それで、学校ではどうするのだろう」
「ただ悪い報告をされたのだろうか」
「家庭で何とかしろということなのだろうか」

このように受け取られてしまうこともあります。

だからこそ、子どもの姿を伝えるときは、担任としての見立てと、今後の手立ても一緒に伝えることが大切です。

たとえば、

「授業の後半になると疲れが出やすいように見えます」

「予定が変わる場面では、見通しが持ちにくくなり、不安が強くなるのかもしれません」

「友達と関わりたい気持ちはあるのですが、思いが強くなったときに言葉で調整することが難しいようです」

このように、担任としてどのように見ているのかを伝えます。

そのうえで、

「学校では、活動の前に見通しを確認してから参加できるようにしてみます」

「難しい問題に入る前に、先にヒントを出したり、助けを求める言葉を確認したりしてみます」

「友達とのやりとりでは、困ったときに使える言い方を一緒に練習していこうと思います」

と、学校での手立てを伝えます。

ここまで伝えると、保護者は「学校で見てくれている」「考えて支援してくれている」と感じやすくなります。

担任ができることは限られています。

それでも、学校で子どもの姿を観察し、自分なりに仮説を立て、支援を試し、子どもの成長に寄り添うことは、学級担任だからこそできることです。

そのことが、押しつけがましくならない形で保護者に伝わることも大切です。

【関連記事】情緒学級の実態把握|子どもの姿を記録して見立てを作る方法

保護者の話を聞く姿勢を持つ

保護者は、その子に長く深く関わってきた大人です。

家庭での姿。
小さい頃からの困り感。
これまでうまくいった関わり方。
逆に、うまくいかなかった声かけ。
本人が安心しやすい環境。
家庭で大切にしていること。

こうした情報を知っていることがあります。

もちろん、保護者がすべてを分かっているという意味ではありません。

ただ、担任がその子と関わるのは、基本的にはその年度の学校生活の中です。

一方で、保護者はその子と長く関わってきています。そして、学校を卒業した後も、その子に近いところで関わり続ける存在です。

だからこそ、保護者に気になる姿を伝えるときは、一方的な説明や提案で終わらせないことが大切です。

たとえば、

「ご家庭では、同じような場面はありますか」

「これまで、こういう場面でうまくいった関わり方はありますか」

「学校ではこのように支援してみようと思っていますが、ご家庭での様子も教えていただけるとありがたいです」

「本人が落ち着きやすい声かけや環境があれば、学校でも参考にしたいです」

このように、保護者の話を聞く形にします。

保護者に何かを求めるというより、保護者から学ぶ姿勢を持つ。

これは、保護者との関係づくりにおいてとても大切です。

【関連記事】情緒学級の保護者対応で大切なこと|子どもの頑張りを共有する関係づくり

伝え方は、対面・電話・連絡帳で使い分ける

保護者に伝える方法には、いくつかあります。

対面。
電話。
連絡帳。
面談。
学校の連絡アプリ。

どの方法が一番よいかは、内容や緊急度、保護者との関係性、担任の得意不得意によって変わります。

私自身は、対面、電話、連絡帳の順で優先度が高いと感じていました。

理由は、対面の方が相手の反応を見ながら話せるからです。

保護者がどのように受け止めているのか。
不安そうなのか。
納得しているのか。
もっと詳しく聞きたい様子なのか。
こちらの言葉が強く伝わりすぎていないか。

こうしたことを、その場で見ながら調整できます。

ただし、これは私自身が対面でのやりとりを比較的やりやすいと感じていたからでもあります。

文章で丁寧に伝える方が得意な先生もいます。
連絡帳でじっくり言葉を選んだ方が、落ち着いて伝えられる先生もいます。
保護者の中にも、電話より書面の方が受け止めやすい方がいます。

大切なのは、どれか一つが正解だと決めることではありません。

それぞれの方法に役割があると理解し、内容に応じて使い分けることです。

連絡帳で伝えるときは、より慎重に言葉を選ぶ

連絡帳や書面で伝えるメリットは、情報が残ることです。

保護者も後から読み返すことができます。
担任も、伝えた内容を記録として残せます。
じっくり言葉を選んで伝えることもできます。

一方で、書かれた言葉は、表情や声のトーンが伝わりません。

そのため、こちらは淡々と事実を書いたつもりでも、保護者には冷たく感じられることがあります。

特に気になる姿を書くときは、言葉の選び方にかなり配慮した方がよいです。

私自身も、書面で気になる姿を伝えるときは、できるだけ良い姿や頑張りを中心に書き、そのうえで必要なことを慎重に書くようにしていました。

たとえば、連絡帳では次のように書くことができます。

「今日は、朝の支度を落ち着いて進めることができました。交流学級の算数でも、前半は集中して取り組む姿が見られました。一方で、後半に難しい問題が続いた場面で、少し気持ちが崩れ、席を離れたくなる様子がありました。短い休憩を入れると落ち着き、最後の振り返りには戻ることができました。今後は、難しい問題に入る前に声をかけたり、困ったときに助けを求める言葉を確認したりしながら支援していきます」

このように、できていること、気になる姿、その後の回復、今後の支援をセットで伝えます。

また、文末には保護者への感謝や相談の姿勢を入れるとよいです。

「ご家庭でも似たような場面がありましたら、様子を教えていただけるとありがたいです」

「学校でも引き続き様子を見ながら支援していきます」

「いつもご家庭での声かけをありがとうございます」

このような一文があるだけでも、受け取られ方は変わります。

電話で伝えるときは、まず安心できる情報を置く

電話は、連絡帳よりも早く伝えることができます。

その場で保護者の話を聞くこともできます。

ただし、電話には難しさもあります。

相手の顔が見えません。
保護者がどのような状況で電話に出ているかも分かりません。
仕事中かもしれません。
移動中かもしれません。
急いでいるかもしれません。

また、学校から電話がかかってくるだけで、身構える保護者もいます。

「何かあったのかな」
「また謝らなければならないのかな」
「悪い連絡ではないかな」

このように感じる方もいます。

だからこそ、電話で気になる姿を伝えるときは、最初に安心できる情報を置くことが大切です。

たとえば、

「今は落ち着いて過ごせていますので、その点はご安心ください」

「大きな怪我などはありません」

「今日の様子について、共有とご相談でお電話しました」

このように、まず現在の状態や電話の目的を伝えます。

そのうえで、子どもの姿を時系列で共有します。

たとえば、

「今日、少し気になる場面がありましたので、共有とご相談でお電話しました。まず、今は落ち着いて過ごせています。〇〇の時間の前半は、集中して参加できていました。ただ、途中で予定が変わった場面があり、そこから不安が強くなったようで、教室に入りにくい様子がありました。少し時間を置いて見通しを確認すると、最後は教室に戻ることができました。学校では、予定変更があるときには、早めに見通しを伝えるようにしていこうと思っています。ご家庭でも、予定が変わる場面で似たような様子はありますか」

このように伝えると、単なる報告ではなく、相談になります。

電話では、長く話しすぎないことも大切です。

相談が長くなりそうな場合は、電話だけで完結させようとせず、面談につなげる方がよいこともあります。

面談につなげるときは、構えさせすぎない

気になる姿が継続している場合や、学校と家庭で支援の方向性をすり合わせたい場合は、面談を設定した方がよいことがあります。

ただし、面談を提案するときも、伝え方には配慮が必要です。

「大事な話があります」
「一度来てください」
「困っているので面談したいです」

このような言い方をすると、保護者はかなり身構えます。

もちろん、内容によってはきちんと伝える必要があります。

ただ、支援の相談として面談を設定するのであれば、「責める場」ではなく「一緒に考える場」であることが伝わるようにした方がよいです。

たとえば、

「今日のことだけで大きな問題というわけではありませんが、同じような場面が何度か見られているので、一度ゆっくり情報共有できればと思っています」

「学校での様子とご家庭での様子を合わせて、今後の支援の仕方を相談させていただけないでしょうか」

「学校ではいくつか支援を試しているところですが、ご家庭での様子も伺いながら、よりよい関わり方を一緒に考えたいと思っています」

このように伝えると、面談の目的が分かりやすくなります。

保護者にとっても、「呼び出された」という印象より、「相談の場を作るのだ」と受け止めやすくなります。

伝え方の基本の流れ

保護者に気になる姿を伝えるときは、次のような流れを意識すると整理しやすいです。

  1. できていること・頑張っていることを伝える
  2. 普段、学校で行っている支援を伝える
  3. 子どもの姿を時系列で伝える
  4. その中で気になる姿を共有する
  5. 担任としての見立てを伝える
  6. 今後、学校で行う手立てを伝える
  7. 保護者の話を聞く

もちろん、すべてを毎回詳しく伝える必要はありません。

内容によっては短くしてよいです。

ただ、特に大切なのは、

子どもの姿を時系列で伝えること。
担任としての見立てを伝えること。
今後の手立てを伝えること。

この3つです。

ここがぼやけていると、保護者は不安になります。

「結局、何が起きたのか」
「先生はどう見ているのか」
「学校ではどうするつもりなのか」

ここが分からないままだと、保護者は受け止めにくくなります。

逆に、この3つが整理されていると、気になる姿の共有も相談につながりやすくなります。

使いやすい基本文例

最後に、保護者に気になる姿を伝えるときの基本文例を載せておきます。

そのまま使うというより、自分の言葉に直して使うとよいと思います。

連絡帳で伝える場合

「今日は、〇〇の場面では落ち着いて取り組む姿が見られました。一方で、△△の場面になると、気持ちが大きく動き、□□という姿がありました。少し時間を置いて声をかけると、最後は落ち着いて活動に戻ることができました。学校では、同じような場面の前に見通しを確認したり、困ったときの伝え方を一緒に練習したりしながら支援していきます。ご家庭でも似たような場面がありましたら、様子を教えていただけるとありがたいです」

電話で伝える場合

「今日、少し気になる場面がありましたので、共有とご相談でお電話しました。まず、今は落ち着いて過ごせていますので、その点はご安心ください。〇〇の時間の前半は参加できていたのですが、途中で△△があり、その後□□という姿が見られました。学校では、次回同じような場面になったときに、□□のように関わってみようと思っています。ご家庭で似たような様子があるか、また、うまくいっている関わり方があれば教えていただきたいです」

面談につなげる場合

「今日のことだけで大きな問題というわけではありませんが、同じような場面が何度か見られているので、一度ゆっくり情報共有できればと思っています。学校での様子とご家庭での様子を合わせて、今後の支援の仕方を相談させていただけないでしょうか」

まとめ

保護者に気になる姿を伝えるのは、簡単なことではありません。

伝え方によっては、保護者が責められたように感じてしまうこともあります。

だからこそ、気になる姿を伝えるときは、子どもの姿を事実として丁寧に整理することが大切です。

できていることを起点にする。
気になる姿だけを切り取らない。
前後の流れを含めて伝える。
担任としての見立てを伝える。
学校で行う手立てを伝える。
保護者の話を聞く。

この流れを意識すると、気になる姿の共有は、単なる報告ではなく、支援の相談になります。

保護者対応は、保護者をうまく動かすためのものではありません。

子どもの成長を、学校と家庭で一緒に見ていくための関係づくりです。

そのためには、良い姿だけでなく、気になる姿も丁寧に共有していく必要があります。

責めるのではなく、一緒に考える。
指摘するのではなく、支援につなげる。
家庭に返すのではなく、学校での見立てと手立ても伝える。

この姿勢を持って保護者と関わることが、子どもを支える関係づくりにつながっていくと思います。

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