情緒学級では、一日の予定や活動の流れが分からないことで、不安が高まったり、次の行動に移りにくくなったりする子どもがいます。
そのため、教師がその都度口頭で伝えるだけでなく、予定や手順を見える形にしておくことが大切です。
この記事では、学級全体で使う予定表の作り方と、朝の支度や隙間時間を含めたスケジュール支援の方法を紹介します。
一日の予定を見える形にする
まずは、学級全体の予定が分かるスケジュールボードを用意します。
一時間目から六時間目までの予定を並べ、どの子が、いつ、どこで、何をするのかが一目で分かるようにします。
情緒学級では、同じ時間に全員が同じ授業を受けるとは限りません。
情緒学級で授業を受ける子、交流学級へ行く子、個別の学習を行う子など、子どもによって予定が異なることがあります。
そのため、それぞれの子どもの時間割を一枚のボードにまとめておくと、子どもだけでなく、担任や支援員も現在の動きを把握しやすくなります。
特に、誰がどこにいるのかを確認できることは、校内で複数の大人が支援に入る場合にも役立ちます。

スケジュールボードの作り方
スケジュールボードには、教科名や活動名を書いたマグネットを貼り付けます。
次のようなものを準備しておくと使いやすいです。
- 国語、算数、生活、体育などの教科
- 交流学級
- 自立活動
- 行事
- 集会
- テスト
- 校外学習
- 予定変更
マグネットは、文字が離れた場所からでも読める程度の大きさにします。
素材は厚みがあるものの方が扱いやすいため、発泡スチロールシートなどを切り、ラミネートした教科名を貼り付ける方法があります。裏面にはマグネットシートを貼ります。
毎日使うものなので、簡単には折れたり破れたりしない作りにしておくと長く使えます。
また、可能であれば、マグネットボードは二組・カードは複数枚用意しておくと便利です。
一組は今日の予定に使用し、もう一組で翌日の予定を準備しておけば、放課後や朝の時間に慌てて貼り替える必要がありません。
掲示する場所を決める
予定表は、子どもが自分で確認できる場所に掲示します。
時間割として使う場合は、教室の前方など、授業中にも見やすい場所が適しています。
ただし、教室の構造や黒板の使い方によっては、前方に置くことが難しい場合もあります。その場合は、教室に入ったときや移動前に確認しやすい場所を選びます。
大切なのは、教師だけが見やすい場所ではなく、子どもが必要なときに自分で見られることです。
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情報を載せすぎない
予定表に多くの情報を載せればよいとは限りません。
給食、掃除、朝の会、帰りの会など、全員が同じ動きをする時間まで一枚のボードに詰め込むと、必要な情報が見つけにくくなることがあります。
大型の予定表には、教科、交流、移動、行事など、子どもによって動きが異なる予定を中心に示すと整理しやすくなります。
全員共通の日課については、別の日課表として示してもよいでしょう。
一枚にすべてをまとめるのではなく、何を確認するための予定表なのかを明確にすることが大切です。
予定表を見る習慣をつくる
予定表を作って掲示しただけで、子どもが自分から見るようになるとは限りません。
使い始めた頃は、教師が予定表を見るように働きかけます。
たとえば、活動が終わったときに、
「次は何の時間かな」
「次はどこに行けばよいかな」
「何を準備すればよいかな」
と問いかけます。
教師がすぐに答えを教えるのではなく、子どもと一緒に予定表を確認することで、自分で情報を探す習慣がついていきます。
予定表を見て次の行動に移れたときには、その行動を認めることも大切です。
四月中に身につけたい習慣の一つとして、毎日繰り返し確認していくとよいでしょう。
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マグネットの貼り替えは誰が行うか
基本的には、大人が予定を確認しながら貼り替えた方が、間違いが少なく安定して運用できます。
一方で、子どもの実態によっては、係活動として予定表の貼り替えを任せてもよいでしょう。
時間割を見ながら正しく貼り替えられる子にとっては、学級の仕事として役割を持つ機会になります。
ただし、貼り替えを任せること自体が目的ではありません。
予定の間違いや貼り忘れが頻繁に起きると、学級全体が混乱します。子どもに任せる場合も、最初は大人と一緒に行い、どこまで一人でできるかを確認しながら進めます。
予定変更も見える形で伝える
学校生活では、時間割どおりに予定が進まないこともあります。
行事、欠席、天候、他学級の都合などによって、急に予定が変わることもあります。
そのような場合は、口頭で伝えるだけでなく、予定表の表示も変更します。
予定変更が苦手な子どもには、
- 何が変わるのか
- 何は変わらないのか
- 変更後は何をするのか
を分けて伝えると理解しやすくなります。
「変更」と書いたカードや、変更箇所を示す枠を用意しておく方法もあります。
見通し支援は、予定を必ず固定することではありません。
変更が起きたときにも、変更後の流れを分かる形で示すことが大切です。

朝の支度は手順カードで示す
一日の大きな流れだけでなく、朝の支度など、活動の中の細かな手順も見える形にすると動きやすくなります。
朝の支度では、次のような手順をカードにして黒板や掲示板に貼ります。
- ランドセルを片づける
- 連絡帳を出す
- 提出物を出す
- 学習用具を準備する
- 健康観察を行う
- 席に座って待つ
文字だけでは分かりにくい子どもには、イラストや写真を添えます。
毎日使うものなので、カードはラミネートしておくと扱いやすくなります。

アナログと電子データのどちらを使うか
予定表や手順表は、電子黒板やタブレットに表示することもできます。
ただし、毎日継続して使う場合は、マグネットやカードなど、アナログなものの方が運用しやすいことも多いです。
アナログの予定表には、次のような利点があります。
- 電源や機器の起動が必要ない
- すぐに貼り替えられる
- 常に掲示しておける
- 子ども自身が触って確認できる
- 機器の不具合に左右されない
電子データが悪いわけではありません。
学級の環境や教師の管理方法に合っており、毎日無理なく更新できるのであれば、電子黒板やタブレットを使ってもよいでしょう。
大切なのは、見た目の新しさではなく、継続して管理・運用できることです。
活動が終わった後まで示す
見通し支援では、活動の内容だけでなく、終わった後に何をするのかまで示しておくことが重要です。
たとえば、朝の支度が終わった後に何をしてよいのか分からなければ、教室内を歩き回ったり、友達に話しかけたりすることがあります。
それ自体が必ず問題になるわけではありませんが、大人の目が届きにくい時間帯に過ごし方が曖昧だと、子ども同士のトラブルにつながることがあります。
そのため、
「支度が終わったら、自分の席で本を読んで待つ」
「終わったら、次のカードを確認する」
「分からないときは、近くの大人に聞く」
など、活動後の行動まで共有しておきます。
重要なのは、子どもを細かく管理することではありません。
何をしてよいのか分からない状態を減らし、安心して待てる環境をつくることです。
【関連記事】情緒学級で子どもに見通しを持たせる支援|予定・ゴール・困った時の動き方を示す
学級全体の予定表で足りない場合
学級全体の大きな予定表だけでは、見通しを持ちにくい子どももいます。
その場合は、個人用のスケジュールを用意します。
たとえば、次のような方法があります。
- 「今」と「次」だけを示す
- 個人の机上に小さな予定表を置く
- 写真やイラストを使う
- 終わったカードを外す
- 活動場所を示す
- 一緒に行動する大人を示す
一日の予定をすべて見せると情報量が多くなり、不安が高まる子どももいます。
その場合は、一日全体を見せるのではなく、今の活動と次の活動だけを示した方が分かりやすいことがあります。
学級全体の予定表を基本としながら、必要に応じて個別の支援を追加します。

最初は大人と一緒に行う
予定表や手順カードを用意しても、最初から一人で動けるとは限りません。
初めのうちは、大人が一緒に予定表を見たり、手順を一つずつ確認したりします。
その中で、
- どこまでは一人でできるか
- どこで止まるか
- 何が分かりにくいか
- どの声かけがあれば動けるか
を見取ります。
一人でできる部分は任せ、難しい部分だけを支援します。
最初からすべてを一人で行わせるのではなく、徐々に支援を減らしていくことが大切です。
この考え方については、スモールステップ支援の記事でも詳しく解説しています。
【関連記事】スモールステップとは何か|できないことを少しずつできる形にする
まとめ
情緒学級のスケジュール支援では、予定を掲示するだけでなく、子どもが自分で確認し、次の行動に移れるように運用することが大切です。
学級全体の予定表では、誰が、いつ、どこで、何をするのかを分かる形にします。
朝の支度などは手順カードで示し、活動が終わった後に何をするのかまで共有します。
また、予定変更は口頭だけで済ませず、変更後の流れも見える形にします。
学級全体の予定表で足りない場合は、個人用スケジュールや「今・次」カードを使います。
大切なのは、細かく管理することではありません。
子どもが「今は何をする時間なのか」「次に何をするのか」「終わったらどうするのか」を確認できる環境をつくることです。
最初は大人と一緒に確認しながら、一人でできることを少しずつ増やしていきましょう。